2025/07/23
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日(日本時間23日)、日本との関税交渉が合意に達したと発表した。日本からの輸入品に課す相互関税は15%とし、現在25%が上乗せされて27.5%になっている自動車・自動車部品関税も15%とする。日本は米国産のコメなどの輸入を拡大し、日本企業が関わる対米投資の促進に向けて最大5500億ドル(約80兆円)規模の支援を行う。
新たな相互関税の発動期限とされていた8月1日が迫る中、約3カ月にわたる交渉が決着した。石破茂首相は23日、合意を受けて首相官邸で記者団の取材に応じ、相互関税は「対米貿易黒字を抱える国の中で最も低い数字」と強調。自動車関税でも「世界に先駆け、(輸出の)数量制限のない引き下げを実現することができた」とアピールした。
適用時期について、政府関係者は「8月1日にやってほしいという話を日本側からしている」と述べた。
相互関税はトランプ氏から今月7日に通知された25%を下回るが、現在課されている一律分の10%より高い水準となった。今回の合意には鉄鋼とアルミニウムは含まれておらず、50%の追加関税は維持される。
首相は「農産品を含め、日本側の関税を引き下げることはない」とも強調した。コメに関しては年間77万トン程度を無税で輸入する現行のミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内で米国からの輸入を拡大。自動車は、日本の交通環境でも安全な米国車の認証手続きを簡素化する。
5500億ドルの支援は、政府系金融機関を通じた出資や融資、融資保証で対応。経済安全保障の観点で重要な半導体や医薬品などの分野で米国に対する日本企業の投資を後押しする。半導体や医薬品では米国が新たな関税を課す場合、他国に劣後しない確約も得た。
ワシントンを訪れた赤沢亮正経済再生担当相がホワイトハウスでトランプ氏と会談して合意した。トランプ氏はその後のイベントで「日本と史上最大の貿易協定に署名した」と強調し、赤沢氏も記者団に「両国の国益に資する合意ができたことは大変喜ばしい」と語った。
4月に始まった米関税の見直しを求める交渉では日米両国の隔たりがなかなか埋まらず、赤沢氏の訪米は8回を数えた。
〔写真説明〕日米関税交渉の合意を伝える米政府の投稿=ホワイトハウスのX(旧ツイッター)より
〔写真説明〕日米関税合意の内容を記者団に説明する石破茂首相=23日午前、首相官邸
〔写真説明〕ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領=22日、ワシントン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)



防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方