震度6強の揺れが8日深夜に観測された青森県八戸市などでは、住民らが経験のない揺れによる恐怖に耐えながら夜を過ごした。地震発生後、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表。住民は9日、「不安だが対策を進めたい」などと疲れた様子で話した。
 同市で写真館を営む上野雅幸さん(66)は、激しい揺れで割れた店の窓ガラスの片付けに明け暮れた。「三陸沖では昔から地震が多い。注意情報に限らず、普段から大きな揺れに備えなければ」と言い聞かせるように語った。
 飲食店オーナーの大沢俊平さん(41)は「こんな大きな揺れは5年前の開店以来初めて」と驚く。何かにつかまらないと立っていられず、窓ガラスも割れて店内はパニックに。「店の再開は数カ月先になりそうだが、どうしようもない。辛抱強く頑張るしかない」と力を込めた。
 同市の主婦(79)は、次の大きな地震について「『いつなのか、いつなのか』と思ってしまい、ちょっと怖い」と不安を吐露。「地震は自然のことなので仕方ない。起きた時に何をすればいいのか今のうちに頭を整理したい」と強調した。
 総務省消防庁によると、今回の地震では9日未明、北海道や青森など5道県で最大約11万4000人に避難指示が出された。八戸市の30代男性は妻と息子2人を連れて近くの公民館に身を寄せた。「経験したことのない揺れだった。何が起きてもいいように非常食や水などは十分に備えておきたい」と話した。
 市立北稜中の体育館には住民ら約280人が避難し、校庭でも約250人が車内で過ごした。梅村光江校長は「この辺りは海に近く、東日本大震災の経験もある。みんな心配そうに津波警報の解除を待っていた」と語った。
 今回の地震で最大となる70センチの津波が観測された岩手県久慈市では、高台にある市総合福祉センターに住民が続々と集まった。同市社会福祉協議会の夏井正悟事務局長(65)は「東日本大震災に加え7月にはロシア・カムチャツカ半島付近の地震があり、避難行動は早かった」と振り返る。
 震度5強を観測した北海道函館市にある市民会館の平形知行副館長(49)は、揺れを感じた直後に会館に向かい、避難者に毛布や食料を提供した。「朝も何度も揺れた。また大きな地震が来るかもしれないので備えないといけない」と気を引き締めた。 
〔写真説明〕食器などが散乱した居酒屋の店内を片付ける従業員。粘着テープで瓶やグラスが落ちてこないように補強している=9日午後、青森県八戸市

(ニュース提供元:時事通信社)