2025/12/09
防災・危機管理ニュース
震度6強の揺れが8日深夜に観測された青森県八戸市などでは、住民らが経験のない揺れによる恐怖に耐えながら夜を過ごした。地震発生後、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表。住民は9日、「不安だが対策を進めたい」などと疲れた様子で話した。
同市で写真館を営む上野雅幸さん(66)は、激しい揺れで割れた店の窓ガラスの片付けに明け暮れた。「三陸沖では昔から地震が多い。注意情報に限らず、普段から大きな揺れに備えなければ」と言い聞かせるように語った。
飲食店オーナーの大沢俊平さん(41)は「こんな大きな揺れは5年前の開店以来初めて」と驚く。何かにつかまらないと立っていられず、窓ガラスも割れて店内はパニックに。「店の再開は数カ月先になりそうだが、どうしようもない。辛抱強く頑張るしかない」と力を込めた。
同市の主婦(79)は、次の大きな地震について「『いつなのか、いつなのか』と思ってしまい、ちょっと怖い」と不安を吐露。「地震は自然のことなので仕方ない。起きた時に何をすればいいのか今のうちに頭を整理したい」と強調した。
総務省消防庁によると、今回の地震では9日未明、北海道や青森など5道県で最大約11万4000人に避難指示が出された。八戸市の30代男性は妻と息子2人を連れて近くの公民館に身を寄せた。「経験したことのない揺れだった。何が起きてもいいように非常食や水などは十分に備えておきたい」と話した。
市立北稜中の体育館には住民ら約280人が避難し、校庭でも約250人が車内で過ごした。梅村光江校長は「この辺りは海に近く、東日本大震災の経験もある。みんな心配そうに津波警報の解除を待っていた」と語った。
今回の地震で最大となる70センチの津波が観測された岩手県久慈市では、高台にある市総合福祉センターに住民が続々と集まった。同市社会福祉協議会の夏井正悟事務局長(65)は「東日本大震災に加え7月にはロシア・カムチャツカ半島付近の地震があり、避難行動は早かった」と振り返る。
震度5強を観測した北海道函館市にある市民会館の平形知行副館長(49)は、揺れを感じた直後に会館に向かい、避難者に毛布や食料を提供した。「朝も何度も揺れた。また大きな地震が来るかもしれないので備えないといけない」と気を引き締めた。
〔写真説明〕食器などが散乱した居酒屋の店内を片付ける従業員。粘着テープで瓶やグラスが落ちてこないように補強している=9日午後、青森県八戸市
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 地震
- 青森地震
- 北海道・三陸沖後発地震注意情報
防災・危機管理ニュースの他の記事
- 「後発地震注意」、募る不安=経験ない揺れ、恐怖に耐え―青森など
- 新首相にバビシュ氏=EUに新たな「自国第一」―チェコ
- 東北新幹線、運転再開=青森地震で一部見合わせ
- 開示資料のAI検索サービス=投資家の利便性向上―JPX
- 住民や事業者の防災対応=内閣府が発表―青森地震
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/09
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方