6. 資源の確保
少しきつめの話になってしまうが、災害時は資源の取り合いが生じる。当然ゼネコンや建設会社の仕事が増える。ということは、それだけ仕事を依頼しにくくなるということである。いかに早く、ゼネコンや建設会社を押さえられるかで自社の復旧の早さも変わってくる。各社ともBCPの中で、ゼネコンなどとの連携は強化しているだろうが、建物だけでなく設備やITシステムについても早期に復旧できるよう応援資源を迅速に得られる体制を構築しておかねばならない。

もう1つ、限られた人数で多くの作業に対応するには、一人ひとりの「多能工化」という手法がある。工務店のアネシスが、日常的には工具も持たない社員にも、水道管の簡易修理などができるよう講習を開いて現場に向かわせたことは他の業種でも学べる点ではないか。同社が平時から、全社員による顧客の定期訪問をしていることで、このような多能工化が可能になったことは誌面で紹介した通りだが、やはり平時からの取り組みがいかに重要かということだ。

7. 現地支援のあり方
現地の支援の方法は、富士フイルム、イオン、構造計画研究所に学ぶべき点だ。現地は、安全の確保で精一杯。その中で、いかに早く適切な人材を選定し先遣隊として送れるかがその後を大きく左右する。現地でどのような支援が必要かということも先遣隊が調整した事例は大いに参考になる。本社側から送られてくる大量の支援部隊の交通手段や宿泊施設の確保も現地が行うとなれば大きな負担となってしまう。こうした現地の負担を和らげる支援のあり方を見習いたい。

熊本地震では、支援部隊の派遣をためらったが故に対応が遅れたという反省が、本誌5月号で紹介した企業アンケートでも課題として挙げられた。政府も、被災府県からの具体的な要請を待たずに避難所・避難者へ必要不可欠と見込まれる物資を調達し緊急輸送する「プッシュ型」支援を実施したが、当初は現地で仕分けられる人がいなくて機能しなかった。

リスク対策.com Vol.55  熊本地震の検証 企業アンケート

8. 現地の判断
では、現地の役割は何か。イオン熊本店では、店長が指揮を執り、地震後に顧客を避難誘導し、駐車場を開放するなど自ら判断し行動した。翌日からの販売方法も、何を販売するのか、屋外でどう販売するのか、いくらで販売するのか現地の店長が中心となって決めた。現地で判断できない施設面は本社側がサポートする。このように現地を支えるエスカレーションの姿勢に学べる点は多い。

そして、現場が判断できるようしっかりと権限も与える。アネシスは、予算も含め課長である災害対策室長に権限を与えていた。平時と非常時の柔軟な組織体制の切り替えができるよう、平時の事業部責任者を執行部として災害対策組織の中に組み入れていたことも柔軟な対応を可能にした要因であろう。

イオン熊本店。店長の判断により、余震で帰れない人のために駐車場を開放し続けた