9. 情報共有・リーダーシップ
現地を支援するには本社との情報共有が不可欠になる。どのような情報をどのように共有するのか。今回の地震では通信が途絶しなかったことから全体的に情報共有はうまくいったようだが、一方で、電話では現地に負担をかける危険性があることも考えておく必要がある。ある企業の社員が「本社と携帯電話で話をしている最中に余震が起きることが何度もあったが、電話は初動を鈍らせる」と話していた。

リスク対策.com Vol.43  機能する情報共有の仕組み

デマも起きた。災害時には正しい情報だけが発信されるわけではない。大切な情報は収集できず、余計な情報ばかりが飛び交う。その中でどう必要な情報を精査(トリアージ)するのか、情報が入手できない状況なら、いつまで待つのか、情報がなくても対応するのか、その決断も求められる。

日常的な情報共有の仕組みが生きた事例は再春館製薬所だ。同社はもともと、1000人近い社員がワンフロア間仕切りなしで働くほどコミュニケーションを重視している。こうした組織体質に加え、西川社長のリーダーシップにより組織全体で目標・目的が共有され、即座に全体調整がとれた活動が展開できた。経営でも「目標による管理(Management by Objectives)」が重視されるが、災害のような緊急時こそ組織が一体となって対応にあたれるような情報共有を考えておかなくてはいけない。

リスク対策.com Vol.37  今求められる危機管理リーダー

リスク対策.com Vol.49  防災・BCPを支える従業員の育て方

再春館製薬所 間仕切りなしのワークスペース


昨年、鬼怒川決壊の対応にあたった常総市では、災害対策本部と安全安心課の部屋が分かれ情報共有しにくかったことは検証報告書でも指摘されている。

常総市水害対策検証委員会による検証報告書について

リスク対策.com Vol.52  鬼怒川決壊への対応を検証

10. 連携
情報共有をした上で「連携」が生まれる。この連携においては、イオンが自治体や陸上自衛隊、航空会社と迅速に連携できたことが参考になる。繰り返しの訓練で成し遂げた点は改めて強調しておきたい。
新産住拓が、県外から支援に来た職人と連携して対応にあたった事例も参考になる。土地勘のない人が突然支援に来ても力を発揮することは難しい。その点、同社は、自社の付き合いの深い地元の職人と外部の職人の混成チームを編成することで支援力をフルに発揮させた。さらに、一度編成したチームも状況に応じて合体したり、別々に活動させるなど日々状況に応じて柔軟に対応させた。専門的な用語を用いるなら「事業規模に応じた柔軟な組織体制(Modular Organization)」と言われる大切なことだ。

一方、自治体についてはどうだろう。多くの自治体から被災自治体に職員は派遣されるが、都道府県職員が来ても、市町村とでは普段からやるべき業務が違うし、災害時の対応を理解している人だけが派遣されるわけではない。被災自治体の職員が先頭に立ち指揮を執らねば復興作業は進まないが、基礎自治体が都道府県職員を指揮することは気分的にも困難という話も聞く。3.11以降、連携を強化するための「災害対応の標準化」の検討が行われてきたが、普段一緒に働かない人とチームプレーができるようにする共通のルール(Incident Command System)や制度を考えていく必要がある。

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リスク対策.com Vol.42 BCP連携の手法