2016/10/13
業種別BCPのあり方
2)保有在庫高が高額となる
もともと乗用車の単価が高いところに加え、自動車販売業には、保有在庫高が高額になりがちな事業上の仕組みが存在する。
まず、わが国の新車販売では、自動車メーカー各社が都道府県ごとに特約を締結した系列販売チェーンを通じて新車を販売することが商慣行として確立している。自動車メーカーが出荷した乗用車は、多くの場合、自動車メーカーの工場から出荷され、陸運局や軽自動車検査協会に登録・届出された段階で自動車販売店に所有権が移転することになっている。これはその後の手続きを円滑にするために必要な仕組みだが、販売業からすると店頭に並ぶかなり前から既に自社の在庫となっていることになり、保有在庫高が高額となる要因となっている。
次に中古車販売では、在庫を豊富に取り揃え、より多くの車から自由に車を選ぶことができることがマーケティング上重要な要素となっている。加えて、注文を受けたら可能な限り早急にお客さまへの納車を完了させることも重要になっていることなどの事情から、事業者側でも在庫車を多数保有しようとする傾向が強い。このようにして、自動車販売業では保有在庫高が高額になりがちであることが、事業継続を考える上で重要な特徴となる。
3.自動車販売業の応急対応
このような特徴を踏まえ、緊急事態における自動車販売業の応急対応での取組みポイントを考える。
1)店舗ごとの速やかな状況確認
新車販売店では同一都道府県内に複数の店舗を持つことが一般的であり、数十以上の店舗を持つ自動車販売業も珍しくない。また、中古車販売店は、近年全国チェーンの形成を指向する事業者が多数出てきており、最大手のA社は300 以上の店舗を同一ブランド下で直営している。
自動車販売業の場合、顧客は店舗ごとに管理していることが一般的であるから、まず店舗ごとの状況を確認し、従業員の勤務可否と、併設されている指定工場や認証工場の運用可否を早急に判断することがその後のお客さまの安否確認を実施する上で欠かせない。
このためには、各社において店舗運営上必要な電気、ガス、水道、圧縮空気用のコンプレッサーといったファシリティやジャッキ、検査台といった設備を列挙した上で、各店の状況を速やかに確認できるようなマトリックス表を作成しておくとよい。また、各店舗の所在地をプロットした地図も有効である。
緊急事態においては、被害の少ない店舗から報告が上がってくることが多い。このため、報告がなかなか上がってこない店舗に対しては、報告を待つだけではな
く、大きな被害が出た可能性があることを踏まえ、本部側から確認に向かわせるなどの対応が必要になる。
業種別BCPのあり方の他の記事
- 第23回 事業中断対策の今後(1)
- 第22回 自動車販売業の事業継続
- 第21回 緊急事態における企業の対応要員の行動
- 第20回 ガス業の事業継続(2)
- 第19回 ガス業の事業継続(1)
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