2016/09/23
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
条例を変えなくても、ねじ止めについての原状回復義務はガイドラインの変更だけで済む?
ふふふ。実は、ここはすごい技があったのです。
アドバイスしていただいたのは、企業BPCと危機管理の第一人者、日本経済新聞社「2011年に危機管理部門で活躍した弁護士」にもランクインしている丸の内総合法律事務所の中野明安弁護士♪
http://www.marunouchi-sogo.com/index.html
実は、ネジ止めについて原状回復義務を負うというのは、条例そのものではなく、ガイドラインで例示されているにすぎないのです。
ですから、ガイドラインの例示を、「防災のネジ止めはいいよ」って変えるだけで、OK!なんですね!
そーは言っても前例が・・なんて思っている方、いないですか?
ふふふふふふ。前例もみつけてしまいました〜!
これです!先の東京都のガイドラン。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-4-jyuutaku.htm
エアコン設置による壁のビス穴、跡(通常磨耗)=貸主負担
エアコンを設置すると、ビス穴が多数開くこともあるようです。でも、なぜそれが、原状回復義務を負わないかというと、クーラーは、もはや常識だからなのです。
熱中症対策として推奨されているくらいだから、クーラー設置ビス穴は通常磨耗になっているのです!
だったら、防災のネジ止めも、もう常識にしてしまって、通常磨耗でいいのではないのでしょうか?少なくとも冷蔵庫に関しては。
うちは賃貸じゃないから、関係ないとも思わないでくださいね。お子さんが大学生になったり、結婚してすぐという場合、賃貸住宅を選択されるケースは多いのです。だから、こんなご意見もいただいています。
「娘の一人暮らしの家は、大家さんが壁に穴を開けていいと言ってくださったので固定している。東仙台市の友人宅は、7階マンションの対面キッチンだったが、冷蔵庫がありえない位置にまで移動して恐ろしかったとのこと。もし賃貸で穴を開けていいのであれば、とても嬉しい」
そして、冷蔵庫の固定の有無をアンケートでお聞きした際、賃借人だけでなく、持ち家の方も冷蔵庫は固定できない、したくないとおっしゃっていました。
なぜかわかりますか?分譲マンションの場合、転売のことを考えると、壁を傷つけるわけにはいかないからです。
賃借人に対する原状回復義務が、持ち家の方の転倒防止をも妨げています。
「家具や壁に傷をつけるから」の理由だけではなく、「部屋の見た目が悪くなるから」も同じ原状回復義務に由来すると最初に書いたのはそのためです。
防災のネジ穴も一切許さない風潮が、実施率を3割に止めている一因です。防災でネジ止めは常識なのだと、まずは行政が持っている賃貸物件からでも変えていけないものかなあと思っています。
そうそう!行政が賃貸人の場合、ガイドラインの変更すら不要ですよー♪ですので、よろしくご検討くださいませ♪
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方