2016/10/26
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情

1、 いつ、だれが、何のメーデーを発するのか?その発信責任は?
※前提として、隊員から現場指揮所、指令センターへのメーデーは「発信」、現場指揮所、指令センターから隊員へのメーデーは「発令」になります。
まず、メーデーの発令方法は次の3つがあります。
① 無線機を用いた言葉による具体的な情報伝達
② 携帯ライトの連続フラッシュ等を用いた光による緊急信号
③ サイレンやアラートなど音を用いた緊急信号
無線機でメーデーを3回連続して言うのは、「この発信は間違いなく【 重大で差し迫った危機状態にある】 ことを確認の上で発信しています」という意味があります。
もし特定の活動小隊からのメーデーを受信した場合、その発信内容は最優先され、いったんメーデーが発信されたら、その周波数では救助の支援となる通信以外、一切の通信は許されないことがルールとなっています。
最初の発信内容を全員が傍受した後、指令センターか現場指揮所において、要救助活動小隊に対応する直近小隊が救出を担当し、無線のチャンネル(周波数)も指定され、他の同じ現場で活動する小隊とは、別のチャンネルを使います。
他の活動小隊に無線機が3つ以上ある場合は、1台を指令センターや現場指揮所との通信用、1台を要救助活動小隊との救出内容交信に使うことも出来ます。
ただし、9.11の米国同時多発テロのように複数の小隊が同時にメーデーを発信した際、消防指令センター側よりも現場指揮所に待機する各隊の無線通信要員からの情報で救援隊を選定し、退避・救出活動を優先させます。
メーデーは責任を持って発信される必要がありますが、同時にメーデーを発信するタイミングを躊躇(ちゅうちょ)させない普段からの意識の普及も必要で、もし、結果的に誤報や未確認発信と判断されても発信者に責任を負わせない共通ルールが必要だとしています。
その理由は、メーデーの発信をためらって発信が遅れたことにより大惨事が起きてしまい、多くの殉職者や市民の死傷者を出してしまった場合、消防組織への人的損失の大きさや遺族への損害賠償は計り知れないことがわかっているからです。
メーデーを発信することにより、自分の命が助かる可能性が高くなるばかりか、
多くの生命を助け&身体を守り、大規模な財産を守ることを優先することで、隊員達にとっては当務明けに家族や待っている人の元に無事に帰ること、また、要救助者 が元の生活に戻ることにもつながります。
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/24
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方