2019/12/27
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
足立区は動画で説明
さて、次は洪水ハザードマップです。これは東京都江戸川区の「ここにいてはダメです」が有名です。過去記事にも書きました。
■避難の合言葉は「ここにいてはダメ」と「551」?
https://www.risktaisaku.com/articles/-/17742
今回は、同じ想定が出ている江東5区内の足立区のハザードマップの解説動画をご紹介します。
足立区の解説動画は足立区以外の方ても見てほしいです。というのも、洪水ハザードマップの図の見方のコツがわかりやすいのです。
足立区洪水ハザードマップ(通常版・字幕入、出典:YouTube)
どんなことが紹介されているかというと、
岡山県倉敷市真備町と比較して
川に囲まれた地形はよく似ていることが指摘されています。
そして荒川が氾濫した場合の北千住駅の水没がAR(拡張現実)で説明されているので、実際の地域がどうなるかイメージしやすいです。
ハザードマップの浸水区域だけをチェックする方が多いですが、
それだけでなく、クロスチェックは、家屋が倒壊する可能性のある地域であることが書かれています。この「家屋倒壊等氾濫想定区域図」は、2016年9月に国土交通省が公表した資料が反映されているハザードマップには記載されているのですが、まだまだ知られていないので、このように動画で説明してくれているとわかりやすくていいなと思っています。
それから、浸水継続時間についても説明されています。
また、台風19号後の荒川流域で講演した際、多くの人がチェックしていなかったとおっしゃっていた重要ポイントについても紹介されています。
講演の際、地域のみなさまにお聞きしたら、東京の雨はチェックしたけど、上流の埼玉の雨については確認しなかったという人がほとんどでした。ここは盲点になりやすいのかもしれません。
世田谷区の危機管理課の報告会でお聞きした事例(多摩川)でも、避難所に避難した後、台風が通過して雨が止んだので自宅に戻った方がいらっしゃったそうです。上流の雨によって水位は後からあがってくるので、雨が止み晴れていたとしても氾濫、増水、浸水の危険であることをイメージできていないということですよね。川は時間差で水位があがる、上流の雨に注意というのは、川遊びの基本の基本なので知っていてほしいです。
さて、荒川については、もうひとつお勧め動画があります。
フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版(出典:YouTube)
この動画の想定は荒川上流に3日間降水量500ミリを超える雨が降ったケースですが、台風19号では、総雨量が三峰山頂雨量観測所で595ミリ、名栗雨量観測所で562ミリでしたので、このドキュメンタリーの通りになっていておかしくない雨量でした。
動画ではどこが治水上不安がある場所なのか説明されています。
具体的な場所で書かれていてリアルです。
動画のコメント欄にはこれを見たから避難したというものもありました♪ 早期避難をうながすことができる訴求力、すごいです。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方