2020/06/18
インタビュー
複合災害の時代 住まいのレジリエンスを再考する
――昨年の台風19号の時もそうでしたが、災害に襲われダメージ受けた自宅の修理を誰に相談していいかわからないという方が多くいました。
産業構造の問題もあると思います。ハウスメーカーなどは全国規模で工法を規格化し、独自のマニュアルをつくっていますが、災害時の損傷やその度合いは個々の家で違います。どうすれば回復できるかは、個別に調査し、判断しなければなりません。
しかし、現在は家づくりも分業体制になっていますから、意匠は意匠、設備は設備、構造は構造と、タテ割りが進行しています。トータルでいろいろな項目をみて、どうすればいいかを総合的に判断するコンサル業務がない。耐震化がなかなか進まない背景には、そうした分業の弊害もあるかもしれません。
――今回のコロナを機に、住まいが見直されるとしたら、どのように変わるのでしょうか。

戦後の日本の住宅は、公団アパートに代表される「nLⅮK」という標準間取りをもって復興してきました。それが今は、一つ部屋の中で家族が住むという「大部屋方式」に変わってきています。耐震工法も、断熱気密工法も、そうしたライフスタイルを受けて変化しています。
しかし感染の問題が出てくると、今度はまた昔のような部屋数が必要になり、個室方式が注目されるかもしれません。するとまた家の広さやプランが変わる。ライフスタイルが変わり、それを受けて工法も変わる。これは、なかなか難しい問題だと思います。

1カ月も「ステイホーム」といわれたら、大部屋方式ではきついですね。とはいえ急にライフスタイルを変えろといわれても、それはそれで難しい。食文化から就学、就業、すべてのシステムが変わらざるを得ない。もちろん産業構造や政策にも影響する。簡単にはいかないでしょう。
それでも、感染の第2波、第3波は来るでしょうし、災害も来る。その時に集団で1カ所に集まれないのであれば、それぞれが独立して避難し、自粛することになります。そうした「ライフスタイル像」を議論しながら、備えていくしかないと思います。
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