2020/06/22
事例から学ぶ
柔軟な対応を現場の工夫で
人の動きの面では、例えば歯科医の出入り。約1カ月入館を停止したが、口腔ケアが止まるとお年寄りは食事に影響が出かねない。医師と協議し、1カ月に1回訪問してもらうかたちに改めた。
清掃業者も、止めてしまうと共有スペースの消毒機会が減り、かえって感染リスクを高めるおそれがある。そのため1度に全フロアを清掃するのではなく、交互に「1・2階」「3・4階」を清掃してもらう方式に変更。主に床の清掃機会は2日に1度になるが、業者のフロア移動を減らし、万が一感染者が出た場合の感染経路を特定しやすくする方を優先した。
入浴方法も変えた。これまでは3階浴室は各フロアのスタッフが混在したチームで入浴介助を担当していたが、これだと利用者1人に関わるスタッフの数が多くなる。そのため1階の利用者は1階のスタッフが入浴まで面倒をみるといった具合に、介助のやり方を工夫した。
接触機会を減らすための措置だが、思わぬ効果も生まれたという。「同じフロアでいつも利用者に接しているスタッフが介助に入るから、お年寄りの細かな身体の変化に気付ける。それがケアの向上につながればいいと思っています」
納得と顧客満足につながる
モノの動きも同様だ。自然災害を想定したBCPを策定している同法人は、ライフライン停止に備えた備蓄がある。ただ、ライフライン停止時の優先順位が①食料と水②トイレ(排泄)③衛生用品なのに対し、パンデミック時は圧倒的に①衛生用品。「量の試算が甘かったことに気付き、すぐに発注したことで最低限の消毒液、石けん、防護エプロンは確保することができた」と話す。
マスクは来年3月までの在庫を維持するため、1日1枚に使用を制限。代替としてマスク用の消毒液を支給したことで、スタッフの積極的な協力が得られたという。
もちろん、日常使いを絞りすぎて感染が出たら意味がない。「考え方としては、平時から自然災害想定とは別に『感染症対策用』を備蓄しておく。今回のように供給が滞っている状況下では、在庫を気にせず、ふんだんに使用できる備蓄力がスタッフの安心につながる」
3月~4月の混乱期は、現場の判断で工夫したことが多かったという。「やらざるを得ないという感覚が強いかもしれないが、それを皆が前向きにとらえ、実際に動いてみたら意外とできた。新たな気付きは多い」
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