(写真はイメージ:GETTY)

小職は2018年5月より、英国を本拠地としてグローバル展開する非営利法人(NPO)のInformation Security Forum (ISF)において、日本のメンバーシップのサポートをしています。

ISFは、サイバーセキュリティ、情報セキュリティ、(デジタル)リスク管理の分野に特化し、実務を支える知恵を産み出し、解決手法を共有するコミュニティーです。

この連載ではISFからの発信やISFが紹介する情報について、翻訳・編集し日本語で共有していきます。主にグローバルなビジネスのリスク管理に関心のある方、実務に携われている方を念頭に、なるべく多面的な視点を取り上げて、ご参考に供したいと考えています。

そして、ISFが30余年にわたって第一人者たりえている理由は何か。小職の考察も交えながら、折に触れ共有させていただきます。

初回は、Forbesに掲載されたISF幹部Steve Durbinによる来るべき脅威への備え、についてのエッセイを翻訳してご参考に供します。

Steve Durbinについて

Steve Durbinは、情報セキュリティフォーラム(ISF)のマネージング・ディレクターです。彼が取り組んでいる主な分野には、戦略、IT、サイバーセキュリティ、および企業環境と個人に対する新たなセキュリティ脅威の展望が含まれます。また、テクノロジーやセキュリティの問題に関して、数多く講演し解説も行っています。

Steveは、米国のDigital 50諮問委員会メンバーであり(この組織は、サイバーセキュリティと情報ガバナンスに関するフォーチュン500社の取締役会の人材プールを改善するために設立された組織)、組織やリーダーが情報セキュリティのキャリア形成に取り組む方法を構想するトップ10人の1人に選出されています。また最近では、各業界の展望を形作るビジョンを持つ企業のリーダーとして最も影響力あるトップ20人リストにも選ばれました。

またSteveは、公認マーケターであり、Chartered Institute of Marketingのフェローでもあり、更にHenley Business Schoolの客員講師として、サイバーセキュリティに関する取締役会の役割に関する講演も行っています。

 

以下、Forbes 2020年7月20日 から(訳:小原)


世界的リセッションが迫る中、ビジネスが備えるべきこと

ビジネス界は今、多くの重要な課題に直面しています。リセッションの不安が色濃く、また世界経済の長期的な退潮が強く懸念される中で、亀裂の深まっていた地政学的な緊張が一気に高まっています。その嵐の中を、さらにその先をどのように舵取りしていくのか、ビジネスの利害関係者や従業員は、CEOに答えと指針を求めています。機敏で効率的かつ効果的な経営を、沈着冷静に進める経営者が覇権を握ることでしょう。

組織のレジリエンス(耐性)がこれまでになく試されていることから、先入観なく率直なコミュニケーションを心がけ、学ぶ意欲を持ったリーダーが勝利を収めるでしょう。嵐が過ぎ去った後には、多くの破壊を目の当たりにすることでしょうが、それは取りも直さず、ビジネス手法に絶え間ない変化が必要な、新たな現実の到来でもあります。もう元には戻らないという事態を受け入れない人々は、一掃される危険に曝されることになります。