2017/11/10
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
赤ちゃん用の「おしりふき」。1パックでいいの?
子育て関連では「おしりふき」と表記されるのがほとんどなので、「お尻拭き」なんて、なんとも古風な表記だなあというつっこみも入れたくなってしまいますが、それはともかくとして、1パックじゃ日常使いとしても全く足りないのです。

おしりふきの1パックはだいたい60枚から80枚入っています。11ヶ月のお子さんの「小」の回数は10〜16回。「大」は1〜2回と言われています。小のおしりふきの1回についての使用平均は1〜2枚、大は4〜6枚と言われています。
もっとも少なく計算して、10×1+1×4=14枚
もっとも多く計算して、16×2+2×6=44枚
ということなので、80枚だと、多い人だとたった1日しかもたないことになってしまいます。それに、おしりを拭いたら今度は自分の手も拭くのです。そうして1回に1度手をふいたと計算をすると、1日に使われる量は、25枚〜62枚になります。1パック80枚しか用意していないなんて、日常使用としても少なすぎですし、日常備蓄としても当然少なすぎるということになります。
でも、防災の本にはわりと「おしりふき1パック」という表記が多いように思っています。何かをコピペしているうちに定着してしまったのでしょうか?この手のリストって防災特集で必ず掲載されるものにもかかわらず、細かく読んでいる人が少ないので、検証されていない残念なものになっている気がします。
もちろん、ほとんど使わない人は1パックでもいいわけです。我が家の場合は、「拭く」という摩擦があるだけでかぶれる子だったので、お湯を持ち歩き、シャンプーの小分けボトルで手動のウォッシュレットの様にしていました。災害時は水が足りなくなるので、おしりふきを利用しようと思っていましたが。
というわけで、リストはあくまでも参考でしかなく、自分の家庭にあってるかどうかは、自分で考えなければ答えはでません。そう思うと、あえてリストは適当な事が書いてあってもいいような気さえします。さらっと1パックと書いている東京防災は、もしかしたら読者がちゃんと読んでいるか試している?なんて思ったりして。
気づいたイクメンパパのような自分事として考える人を待っていたという事かも!
「おしりふき」を社長室で備蓄している方がいました!
ところで、1パックでは足りない赤ちゃんのおしりふきですが、災害時、いろいろな用途に大活躍したものでもあるのです。
赤ちゃん用だとアルコール、パラベン、香料不使用で純水99%と刺激は少なめ。そして、赤ちゃんの肌にも使える柔らかさと厚みのあるシートなので、お風呂に入れない体をふくのに使えます。体をふいた程度のものであれば、災害用トイレを作成する時、吸水材としても利用できます。ウェットティッシュとして最初から保水していますが、吸水にまだまだ余裕がある不織布なので、水にひたすとさらに保水が可能なのです。
ですから、おしりふきは1パック以上用意しておきたいですね!
とはいえ、赤ちゃんのおしりふきです。赤ちゃんがいない人は持っていないと思うのではないでしょうか?特に企業の防災担当の方は「おしりふき」と聞いただけで記事を読む事さえスルーしてしまうかもしれません。
しかし、以前、備蓄の話でも紹介させていただいた北良株式会社では、代表取締役社長の笠井健さんの机に 赤ちゃんのおしりふきがあるのです!
■梅仕事と新発想!1石4鳥の地域循環型ローリングストック
防災備蓄で残業が減る?!地域おこしを助ける?!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3082
赤ちゃん用品の会社ではありませんよ(笑)。小さいお子さんが今、いらっしゃるからでもありません。それなのに、なぜ、社長の机におしりふきがあるのかというと、最初はお子さんが小さい時に使われていたものをウェットティッシュ代わりに使われていたそうです。
その後、こどもに使えるなら大人にも、そして、お年寄りにも使えるし、みんなに使えるのであれば、お風呂が使えない災害時にも役立つ、人に使えるものはモノにも使えるということで、マルチふきんとして活用されるようになったそうです。
でもそれなら、ウェットティッシュに戻るという選択もあったわけですよね。なぜ、そのままおしりふきを使われているかというと、災害時、もっとも弱い立場になってしまう赤ちゃんに役立ててもらうことができるので、あえていつも使われているそうです。
さらに、あえて、おしりふきを持っていると、自分のこどもが大きくなっても赤ちゃんが存在することを忘れないアイコンになるからとのお話です。
感動しちゃいました♪防災や減災は想像力が大切って言われますが、日常から災害で弱くなる立場の人にも想いを馳せて、備蓄品を選べると素敵ですね♪
「もしもすべての社長室に赤ちゃん用おしりふきがあったなら」。略して、「もしおし」という共助を謳う防災本でも出したくなってきました!災害時の弱者になる人に普段から優しい街は災害にも強いと感じていますが、おしりふきひとつから実践できるので、みなさんの社長室にも是非、「おしりふき」を!!
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方