知識の<ワンダーランド>~国土地理院は楽しい~
地図から温故知新
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2017/12/11
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
国土地理院は、筑波研究学園都市(茨城県つくば市)の中核をなす調査・研究機関の一つである一方で、年間を通じて多彩な企画展などを開催している。見学者が絶えないのである。同院を訪ねると必ずといっていいほど新たな発見や驚きがある。
それは、地図ほど我々の想像力をかき立てるものはないからで、理系・文系の分野を問わず知的な刺激に満ちているのである。本年(2017年)4月以降今月までで、印象に残った研究成果、発表、企画展などを紹介しよう。
国土地理院は、噴火活動が続く小笠原諸島の西之島(東京都小笠原村西之島)の新しい2万5000分の1地形図を発行した。噴火後はじめての地図を一般に公表した。四半世紀ぶりの地図の更新である。
同島は東京の南約1000km、父島の西約130kmに位置する。火山列島(硫黄列島)と同一火山脈に属し、付近は海底火山活動が活発であることで知られる。新しい地図では、噴火によって9.4倍にもなった西之島の地形がはっきりと分かる。同院が、2016年12月撮影の航空写真に基づいて判断したものである。西之島は、2013 年11 月の噴火活動以降島の拡大を続けてきたが、2016年には火山活動が沈静化した。
国土地理院では、同年12月20日時点における西之島の海岸線及び地形を表記した2万5000分の1地形図を6月30日に刊行した。地形図の更新に利用した空中写真も同日に刊行した。加えて、同様に更新した、電子地形図や数値地図(国土基本情報)も同日にオンライン提供した。
詳細な地形が分かる火山基本図データ「西之島」について、国土地理院のホームページから公開している。公開データは、「西之島火山基本図データ(基図)」、「西之島火山基本図データ(陰影段彩図)」、「西之島火山基本図デー
タ(写真地図)」の3種類だ。
<基礎データ>2016年12月20日時点の西之島の面積 : 2.72km2
※東京ドーム約58個分
※旧島(0.29km2)の9.4倍
最高標高143m
火山基本図データ「西之島」は、防災計画や火山の調査、各種研究などでの活用が期待される。
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