2015/07/25
誌面情報 vol50

甘かった胸算用により、新国立競技場の建設をめぐるドタバタ劇は首相の白紙撤回の一声で一気に振り出しに戻った。しかし、わずかな時間の浪費も脇の甘さも許されないのが大会に向けた危機管理だ。これから2020年に向け、日本の危機管理は、間違いなく世界から厳しい目で評価される。
一方で、ドローンの首相官邸への落下や、新幹線内での焼身自殺など、これまで考えもしなかった事故や事件が不気味に続く。さらには、地震や大雨、噴火などの気象災害、エボラ出血熱やMERS(中東呼吸器症候群)などの感染症、サイバー攻撃と、ここ最近だけでも国民を震撼させるリスクは枚挙にいとまがない。
民間企業も無関心ではいられない。
オリンピックに関連するビジネスで事故が起きれば、またたく間にその情報がネットを通じて世界へと流れる。大会期間中の交通規制や通信の混雑により、ビジネスに影響が出ることも考えられる。そして、もう1つ、東京五輪では、イベントのサスティナビリティ(持続可能性)に関するマネジメントシステムの国際規格が採用される方針が決まっており、大会に使われる設備や資機材、商品・サービスなどについて一定の調達基準が設けられる可能性がある。
◆オールジャパンで臨む危機管理体制
国、組織委員会、都の役割
◆海外の五輪・スポーツイベントから学ぶ
「何か起きる」ことを前提に
◆リオ、ロンドン五輪のIT対策
サイバーセキュリティの方法論を変えろ
◆ボストン、ロンドンマラソンの危機管理に学ぶ
求められる連携、訓練、ソリューション
◆持続可能な方針に基づき厳しい採用基準
調達が民間企業の最大リスク!?
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