2016/05/18
誌面情報 vol50
生活の言葉で防災を語ろう
1995年の阪神・淡路大震災で被災した経験から、独自の「アウトドア流防災」を提唱するあんどうりす氏によると、「たった1つのこと」を知っていれば身の回りにあるものでオムツもトイレも作れてしまうという。災害時、家庭でトイレを備蓄していなかったら、清潔なトイレ環境をあきらめるしかないのか? もし会社で備蓄用簡易トイレをすべて使い切ってしまったら、企業のBCP担当者は何を考えなければいけないのか? 防災における本当の知恵とは何かを考えてみたい。
編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年7月25日号(Vol.50)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年5月18日)

「レスキュー隊員や自衛隊員の家族に、防災講座を開催したこともある。なぜなら、彼らは災害が起こってしまえば現場に駆けつけなければいけないのに、家族に対しては防災リュック1つ渡しておけば安心と思っている人が多い」と、アウトドア流防災ガイドのあんどう氏は災害対応のプロの家族の悩みを打ち明ける。
あんどう氏は自身の被災経験をもとに2003年から講演活動を開始。日常にも役立つ防災の知恵が詰まった講演は、主に子育て中の主婦層の間で口コミで広がり、現在では年間100回以上の講演会を実施している。
100通りのオムツの作り方
災害時、乳幼児がいる家でオムツがなくなってしまったらどうすればよいだろう。あんどう氏は「私は身の回りにあるもので、100通りのオムツの作り方を知っている。それはオムツの仕組みを知っているから」と話す。オムツの機能とは、要するに外側に防水機能が、内側に吸水機能があればよいという。この仕組みが分かっていれば、例えばレジ袋でオムツを作ることも可能だ。レジ袋の両側にハサミを入れて切り開いた後、赤ん坊の股に当たる部分にいらなくなった清潔な布やタオルを敷く。その後、赤ん坊の股をくるむようにしてビニールで包み、両端を結ぶのだ。
もちろん、普通のビニール袋でも工夫すればオムツを作ることもできる。「外側は防水、内側に吸水」機能があれば、何を組み合わせても構わないという。

実は備蓄用簡易トイレも同じことが言える。市販されている簡易トイレの正体も、ビニール袋の中に吸水性の高いシートなどを貼り付けているものが多い(もちろん、そのほかに凝固剤や消臭剤をパッケージにしているものもある)。最悪の場合、野外であれば段ボールを補強し、その上にゴミ袋などのビニールをかぶせ、なかに新聞紙などを細かくちぎったものを入れておけばよい。ゴミ袋が防水の役目を、新聞紙が吸水の役目を果たす。オフィスビルであれば、便器の上にビニールをかぶせ、そのなかにシュレッダー内に発生している紙屑などを入れてもいいだろう。防水機能と吸水機能、この2つの機能さえ分かっていれば、万が一備蓄トイレがなくなってしまった事態に陥っても、知恵を働かせることで衛生的な環境を保持することができる可能性が高まる。
誌面情報 vol50の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方