水蒸気はガソリン

地球温暖化による気温の上昇のもう1つの大きな問題は、水蒸気の増加がもたらされることです。水蒸気は気温が高ければ高いほど大気中にたくさん含まれます。ですから、気温が上昇するということはそれに含まれる水蒸気の量が増えることを意味します。

私はよく水蒸気はガソリンと同じだという例えをします。水蒸気というものは大きな熱エネルギーを持っているのです。気象学では水蒸気は熱と等価と考えます。ガソリンは燃やすと化学変化によって熱を出しますが、水蒸気は気体から液体への相変化と呼ばれる物理的な変化に伴って熱を出します。すなわち、水蒸気が増えれば増えるほど大きなエネルギーが放出されることになる訳です。

エネルギーが増えると、それだけ激しい運動が起こり、結果として豪雨をもたらしたり、台風を強化させたりします。また、「集中豪雨」という言葉がある通り、雨は集中する性質があります。集中するということは、逆に降らないところ、すなわち干ばつ地帯が発生することがあり、全体として極端現象が増加することになります。

スーパー台風は地球上で発生する最も強い熱帯低気圧

図4は、風水害などによる保険金の支払い上位10位をまとめたものです。これを見ると、4位と10位以外は全て台風が占めています。保険金支払いは災害の1つの指標なのですが、これから、現代の日本でも台風は風水害の大きな原因の1つであることが分かります。

写真を拡大 (図4)風水害等による保険金の支払い

台風にはきちんとした定義があります(図5)。台風は、西部北太平洋、赤道より北で東経180度(日付変更線)より西の領域、または南シナ海の風速17m/s以上の風速を持つ熱帯低気圧と定義されています。

写真を拡大 (図5)

同じように、東部北太平洋と北大西洋で発生するものが「ハリケーン」、南太平洋とインド洋で発生するものを「サイクロン」と呼んでいます(図6)。日本の気象庁は、台風を風速によって「強い」「非常に強い」「猛烈な」というクラス分けをしています。一方で米国は別の表現をしており、こちらも風速で「Tropical Depression」「Tropical Storm」「Typhoon」「Super Typhoon」と定義し、このうちの「Super Typhoon」の日本語訳がスーパー台風になります。

写真を拡大 (図6)世界の熱帯低気圧の分布

ハリケーンのカテゴリーは1から5までありますが、スーパー台風はおおよそカテゴリー5に相当します。また、過去に記録された最大強度の台風の最低中心気圧は、最大強度のハリケーンよりも低いため、スーパー台風は地球上で発生する最も強い熱帯低気圧であると言えます。