自らを成り立たせるものを自覚する組織
第3回:オリンピックにまつわるスポーツ・インテグリティ1

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/01/24
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
前回の連載では、まず、スポーツ・インテグリティという概念がいわばスポーツのあるべき姿・状態を指していることを説明し、その上で次の点についてお伝えしました。
連載第3回となる今回は、世界最大のスポーツ・イベントといっても過言ではないオリンピックに着目して、スポーツ・インテグリティに関する取り組み等について紹介したいと思います。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)について、2021年12月22日、東京2020大会の組織委員会が、大会経費が1兆4530億円となる見通しであることを発表しました。この大会経費(見通し)については、国(1939億円)と東京都(6248億円)の負担部分も含まれます。
また、内閣官房による「令和2年度第3次補正予算(案)、令和3年度当初予算(案)におけるオリパラ関係予算について」(令和3年1月22日付)と題する資料では、「平成25年度当初予算から令和3年度当初予算(案)までのオリパラ関係予算の合計は約3959億円(令和2年度予算は補正後ベース)」とされています。
さらに、東京都による「オリンピック・パラリンピック準備局 年度別予算・決算について」と題する資料では、オリンピック・パラリンピック準備費として、令和3年度予算額:約3982億円、令和2年度予算額:約3188億円、令和元年度決算額:約2292億円が示されています。
これらの数字につき、単純に合算するのは適切でない面があるかと思いますが、いずれにしても、途方もない額の公的資金が東京2020大会の開催に関連して費やされたということができます。
以上のことを前提とすると、オリンピック・パラリンピックは莫大な公的資金を要するスポーツ・イベントということができそうですし、そうすると、スポーツ・インテグリティの確保の要請も非常に高いものであるということができそうです。
では、オリンピックを担う国際オリンピック委員会(以下、IOC)は、スポーツ・インテグリティとどのように向き合っているのでしょうか。
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