中央競技団体に見る組織構造の脆弱性
第8回:「スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>」について2

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/03/17
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
前回は、2018年12月20日にスポーツ庁より公表された「スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン」に掲げられていた「スポーツ団体ガバナンスコード」のうち、「中央競技団体向け」について、それが策定された背景・理由等をご紹介しました。
その上で、中央競技団体の役割・特徴等から導かれる公共性という性格に照らすと、高い水準のガバナンスが求められるのが当然であり、それなくしては、当該スポーツへの信頼・応援が損なわれかねないという認識・理解が当該ガバナンスコード策定の根底にあるのではないかという旨をお伝えしました。
連載第8回となる今回は、中央競技団体とはどういったものなのか、その規模等の実態についてお伝えしたいと思います。
中央競技団体の規模等の実態をご紹介するにあたって依拠しているのは、公益財団法人笹川スポーツ財団(以下、SSF)が調査・作成している「中央競技団体現況調査 2020年度調査報告書」(以下、2020中央競技団体報告書)です。
これはSSFが2010年度より隔年で実施している調査に基づく報告書の現時点での最新版であり、中央競技団体の実態を知ることのできる極めて重要な基礎資料となっています。これを基に、中央競技団体の実態に触れてみたいと思います(以降、特に記さない限り、頁数の記載は2020中央競技団体報告書の頁数を指します)。
なお、前提として、2020中央競技団体報告書における調査対象の90団体(2頁)と、「スポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>」の適用対象の団体とでは、主として、障がい者スポーツ(パラスポーツ)に関する中央競技団体が含まれているか否か(前者には含まれず、後者には含まれる)という点で差異があることを付記しておきます。
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンスの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方