3Mのオフィス防災グッズ

スリーエム ヘルスケア株式会社、住友スリーエム株式会社   

東日本大震災や東京都の帰宅困難者対策条例の制定を踏まえ、大手化学メーカーの3Mでは、独自に研究開発した化学素材などを使ったオフィス防災対策製品を新たに商品化した。BCP(事業継続計画)にも役立つ「災害用寝袋」「高性能防護マスク」「書棚用落下抑制テープ」の3点を紹介する。

■収納性と保温性を両立した 『災害用寝袋』


来年4月から施行される東京都の帰宅困難者対策条例では、事業者に対し、すべての従業員が3日間、施設内にとどまれるよう、水、食料、毛布の備蓄を求めている。これを受け、3Mではオフィス災害用備蓄寝袋「3M ™ シンサレート ™ オフィス災害用コンパクト寝袋」の受注販売を今年 12 月から開始する。折り畳み式で A4ファイルと同等のサイズに収納でき、個人の机の引き出しに入れて備蓄することができる。東日本大震災では停電でエレベー ターが止まるなど、備蓄倉庫まで防災用品を取り出しに向かうのに苦労した企業が多かった。

素材は、スキーウェアやワーキングウェアの中綿として広く利用される3Mの「シンサレート ™ 高機能中綿素材」を採用したことで、薄手ながら高い保温性能を実現した。従来のポリエステル綿の 1.5 倍〜2倍の保温性があり、一般的な災害用毛布より厚手のセーター1枚分相当も暖かく、冬の災害時であってもオフィスで睡眠ができるという(下図表参照) 。

■女性に配慮したデザイン
寝袋の両肩部分はボタンで開閉でき、 椅子に座りながら肩からかけるように着ることが可能。また、頭部に取り付けられたファスナーを調整することで、 顔全体をすっぽり隠し込むように着ることができる。東日本大震災で、避難施設で夜を過ごした女性から「寝顔をみられたくない」という意見が多く寄せられたことに配慮したデザインとし た。

寝袋は水洗いが可能で、使用後も清潔に保管し繰り返し利用することができるため、 「匂いや清潔感から毛布は苦手」という女性でも、気にすることなく使うことができる。オープン価格。


■呼吸がラクな 『高性能防護マスク』


3M が新たに開発した「3M ™ VFlex™ 防護マスク 9105/9105S」 は、NIOSH( 米国労働安全衛生研究所)認定の N95 に適合した防護マスクながら、呼吸への負担が少なく、災害復旧要員でも装着したまま作業ができる。N 95 とは、粒子状物質を吸わないために使用される防護マスクの規格。

空力学的質量径でおおよそ 0.3 マイクロメーターの粒子(タバコの煙と同じくらいの大きさ)を 95%以上補集できる高性能マスクだ。日本では、新型インフルエンザ対策として N95 のマスクを備蓄した組織は多い。当然、新型インフルエンザ対策だけではなく、地震、津波、火山爆発などの自然災害により発生するホコリやアスベストなどの様々な有害物質を防ぐマスクとしても有効に機能する。

しかし、 従来製品は、 一般の花粉症対策で利用されるようなプリーツ状のマスクに比べて密閉性が高い一方で、性能を担保するために呼吸しずらくなることが課題だった。

新開発の 「3M™ VFlex™ 防護マスク」は、特殊な加工や構造を工夫することで、3Mがこれまで提供してきたN95マスクと比較して、装着時の呼吸が格段としやすくなった。従来製品と比較すると、30%以上呼吸がラクになっている。

同社では、より快適な装着を追求し、顔の大きさに合わせてレギュラーサイズ (9105) とスモールサイズ(9105S)の2タイプを用意。価格はオープンだが、3M オンラインストアでは 1 箱 50 枚入りで 4900 円(税別)で販売。これは 1枚当たり 98 円となり、従来の N95 のマスクと比べて割安となっている。


写真を拡大棚の手前部分に貼るだけで書籍類の落下リスクを低減。振動実験の様子(震度6弱相当)

■貼り付けが簡単 『書棚用落下抑制テープ』
「3M ™ 落下抑制テープ」は、特殊加工したウレタンを表面に持つテープで、 本棚に貼るだけで地震時の書籍類の落下リスクを低減させる。多くの企業や自治体では、本棚そのものの転倒防止はすでにされているものの、書籍の落下防止は、地震対策の盲点だった。同 製品は、開架式書棚からの本やバインダーなどの落下物によるケガのリスクを低減し、また避難通路の確保や書類の散乱防止をすることで速やかな業務の再開を助ける。

テープは、特殊工具など必要なく、誰でも簡単に貼ることができる。棚の手前部分に貼るだけなので、本やファイルの出し入れなど面倒な作業が不要だ。テープの厚さは 0.3 ミリと薄く、 貼り付け後も本やファイルの出し入れに支障をきたさない。透明で棚の美観も損ねることがない。

価格は9メートル用が 4200 円(税別)、1.8 メートル用が 976円 (税別)。 1棚の長さ 90センチをとすれば、9メートル用で 10 棚分、1.8 メートル 用で2棚分が施工できる。1棚あたり約 400 円という計算だ。業務用の類似製品は、本の下に敷くシートタイプが 1 棚につき 1000 円〜 2000 円、ベルトタイプの製品が 1 棚 1000円以上で、コストパフォーマンスにも優れている。

同製品は 2011年7月から図書館向け製品として先行販売し、すでに全国の公共図書館や大学図書館で広く採用されている。

独立行政法人防災科学技術研究所がまとめた病院向けの防災対策ガイドブックや日本図書館協会施設委員会のテキストなどでは書棚からの落下防止の必要性について指摘があり、本製品はこれらに適合する。

※ 3M、シンサレート、VFlexは、3M社の商標です。

【お問い合わせ先】
■3M™ シンサレート™ オフィス災害用コンパクト寝袋
■3M™ VFlex™ 防護マスク 9105 / 9105S
スリーエムヘルスケア株式会社 安全衛生製品事業部
TEL 0570-011-321
受付時間/8:45〜17:15(土・日・祝日・年末年始は除く)

■3M™落下抑制テープ
住友スリーエム株式会社 文具・オフィス事業部
TEL 0120-510-333
受付時間/9:00〜17:00 …(土・日・祝日・年末年始は除く)