2013/06/18
ニュープロダクツ
大林組「診療情報BCPクラウド」システムを開発
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石 達)は、被災時の医療機関の診療継続を支援する電子カルテの「診療情報BCPクラウド」システムを開発した。
過去の震災では医療機関が被災するケースがあり、紙のカルテや電子カルテの診療情報が消失する事態が発生している。また、電子カルテの情報を別の場所にバッ クアップしていても、電子カルテシステムが動作する機器そのものが消失し、診療情報の復元に長い期間を要するだけでなく、震災時の緊急時医療や診療継続、 早期の診療再開に支障をきたすことが課題となっている。
大林組は、この課題を解決するために医療機関内の診療情報をクラウ ド上のサーバーに保管することにより、汎用的な情報機器で診療情報を利用できる「診療情報BCPクラウド」システムを開発した。被災時にも診療情報を即時 に確認できる環境を整えて診療を継続、あるいは迅速な診療再開を可能とした。
同社では、医療機関の協力の下、実証実験を行 い、システムの有効性が確認し、往診時や計画停電時の患者情報閲覧など、日常的にも活用できることを実証した。今後も、これらの実験結果や政府の進める 「地域医療連携ネットワーク」を見据え改良を加え、医療施設のニーズにあったシステムへと発展させる予定だという。
「診療情報BCPクラウド」システムの主な特長
1 複数メーカーの電子カルテシステムにも適用可能
電子カルテシステムからクラウドサーバーに保管する診療情報は、国内標準の診療情報交換規約であるSS-MIX(※)の仕様。SS-MIX仕様のデータが出力できる電子カルテシステムならば、ベンダーを問わず適用する。
2 非常時にも整備しやすい汎用的な環境で利用可能
クラウドサーバー上の診療情報は、インターネットに接続できれば、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど、汎用的な情報機器で利用できる。ま た、最低限必要な診療情報だけをSS-MIX仕様のデータで保管しているため、簡易に検索し、見やすく表示・印刷して使える。電子カルテシステムを作動 できない状況でも、診療情報が閲覧可能。
3 安全性
高い安全性を持つクラウドサーバーを利用。また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠するとともに、大林組が蓄積 してきたセキュリティ対策により、技術的に安全性が保証された通信回線環境、端末管理用証明書システムおよび大林組独自の情報共有システム(OC- COMET)のノウハウを活用し、機密性を高めている。
※:SS-MIX
Standardized Structured Medical record Information eXchangeの略で、「厚生労働省電子的診療情報交換推進事業」のこと。
さまざまなインフラから配信される情報を蓄積するとともに標準的な診療情報提供書が編集できる「標準化ストレージ」という概念に着目し、すべての医療機関を対象とした医療情報の交換・共有による医療の質の向上を目的としている。具体的には記 録された医療情報の電子化・標準化に向けた啓発活動の一環として、パッケージウェアの開発、ドキュメントの整備、各ベンダーによる同一の規格を実装したシ ステムの開発と普及を行っている。
(出典)SS-MIX 普及推進コンソーシアム ホームページ
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