2013/09/17
防災・危機管理ニュース
5.緊急時の対策
台風の接近や注意報・警報が発令された場合には早急な対策が望まれる。緊急時の対応は以下のとおりである。
(ソフト対策)
◇最新の台風・低気圧情報や各種の警報・注意報等の情報の収集に努める。台風が日本に近づいた時(およそ300km以内)には、台風の位置は1時間ごと、24時間の進路予測は3時間ごと、72時間の進路予報は6時間ごとにそれぞれ発表される。
◇災害対策本部などの社内組織を即座に編成できるように準備しておく。災害対策本部が決定および指示する事項には以下のものがある。
①情報班・巡視班・資材班・救護班・誘導班など役割に応じた各班の配置、伝達事項
②操業停止時期
③緊急対策を講じる時期・方法・レベル
④従業員の帰宅時期
⑤優先位置づけ(非常時に何を優先して行うか)
⑥本部と出先・他部門との綿密かつ確実な緊急連絡体制の確立
⑦台風通過後の復旧方法・手順
⑧その他・注意事項など
(ハード対策)
◇戸や窓等の開口部は、すべてしっかり閉めておく。ただし、強風下でひとつの開口部が壊れた場合には、他の開口部を完全に閉鎖していると風をはらんで屋根全体が飛ばされることになりかねない。反対側の戸を開いて風道を通した方が安全な場合もあるので、臨機応変に対処する。
◇屋外設備は台風が通過するまでビニールシートで覆うなどの対策を施す。
◇支持力が弱いと見られる塀、庭木に、支柱・添え木をする。
◇停電や断水に備え、ラジオ、懐中電灯、水の汲み置きなどの準備をする。
◇窓、シャッター、看板類などを補強する。また、強風により飛散しやすいもの(板切れ、角材、トタン板、小石など)を片付けておく。
◇強化ガラス以外の窓ガラスにはビニールテープをはる。
◇煙突・アンテナは、針金でしっかり固定する。
6.おわりに
暴風による被災は、その一か所一か所は小規模であることが多いが、自社構内全域に亘って多数個所に被害が発生し、一つの台風としては被害額が甚大となることもある。さらに、施設の損害は軽微であっても、原材料や製品、ボトルネックとなる重要施設への被災は思わぬ長期休業を余儀なくされ、収益に対する損害も看過できないものとなる。
サプライチェーンの重要性が叫ばれる昨今では、顧客、取引先への供給者としての責任を全うする意味でも風災対策に力を注ぐことは重要である。
台風は毎年、日本に接近・上陸する自然事象であるが、気象情報等により事前にその襲来の時間や規模を予想することができる。そのため、常日頃の台風対策を怠りなく実行することにより損害の防止、被害軽減は可能である。今後の台風対策に本レポートを参考にしていただければ幸いである。
[ 2013年9月2日発行]
参考文献等
・気象庁ホームページ「台風について」
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tyhoon/1-1.html
・実践リスクマネジメント[第四版]インターリスク総研編著
【お問い合わせ】
株式会社インターリスク総研 コンサルティング第三部
TEL 03-5296-8917
※ 本稿は、マスコミ報道など公開されている情報に基づいて作成しております。また、本誌は、読者の方々および読者の方々が所属する組織のリスクマネジメント の取組みに役立てていただくことを目的としたものであり、事案そのものに対する批評その他を意図しているものではありません。
転載元:株式会社インターリスク総研 InterRisk Report
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/21
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方