【ニューデリー時事】パキスタン政府は7日、同日未明のインド軍による越境攻撃を踏まえ、シャリフ首相をトップとする国家安全保障委員会(NSC)を招集した。首相府はNSC会合後に声明を出し、民間人を標的にした軍事行動であり、「露骨な侵略」だと攻撃を非難。「自衛のため対応する権利がある」とし、さらなる報復を辞さない構えを示した。
 声明によると、インドはミサイルやドローンなどを組み合わせて空爆を実施。係争地カシミール地方のパキスタン側支配地域だけでなく、東部パンジャブ州のバハワルプルなど4地点も標的となった。これに関しパキスタン軍は「民間人31人が死亡、57人が負傷した」と発表した。
 同軍は攻撃への対応として「インド軍機5機を撃墜した」としている。また、インドのメディアによれば、カシミール地方のパキスタン側から砲撃があり、インド側で民間人10人以上が死亡した。
 インドのシン国防相は7日、越境攻撃について、テロリストの訓練施設を標的としたもので「民間人に被害はなかった」と主張した。インド政府は事態のエスカレートを避けたい考えだが、報復の連鎖に伴う偶発的衝突から核兵器を保有する両国が大規模な交戦に入る可能性は捨て切れない。
 インドでは7日午後、全土でボランティアや公務員が参加して空襲時の対応などを確認する民間防衛訓練を実施した。全土での実施は第3次印パ戦争が起きた1971年以来54年ぶりという。 
〔写真説明〕7日、パキスタン東部パンジャブ州バハワルプルで、インドによるミサイル攻撃の現場(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)