【ニューヨーク時事】米南部テキサス州で、130人以上が犠牲となった洪水発生から4日で1カ月。初期対応や警報システムの不備が徐々に明らかになった。トランプ政権は財政負担削減の一環で、災害対応を担う連邦緊急事態管理庁(FEMA)の廃止を目指していたが、存続させる方針に転じた。
 洪水の発生当日は独立記念日の祝日で、最も被害の大きかったカー郡では、サマーキャンプに参加していた少女らを含む100人以上が亡くなった。州議会での報告によると、7月23日時点で州全体の死者は137人で、キャンプに参加した2人が依然行方不明となっている。
 ニューヨーク・タイムズ紙などによれば、州議会調査委員会の公聴会で、カー郡で危機管理を指揮する複数の責任者が病欠や休暇のため当初不在だったことが明らかになった。各郡が別々に避難命令の権限を持っており、カー郡では避難命令が出されなかったという。州の危機管理責任者は、各自治体の当局者が連携するためのシステム整備を求めた。
 カー郡では長年警報システムの導入が議論されてきたものの、資金難などを理由に却下されてきた。調査委は7月31日にカー郡で公聴会を実施。同郡カービルのヘリング市長は来夏までに川沿いにサイレンを含む警報システムを設置するよう訴え、「州議会の助けが必要だ」と訴えた。
 洪水の初期対応を巡っては、トランプ政権が進めた連邦政府の人員削減の影響など、政府の責任を問う声も上がった。トランプ大統領は7月11日に被災地を視察した際、当局は「素晴らしい仕事をした」と絶賛。対応に問題はなかったとしたが、直後にノーム国土安全保障長官はFEMA廃止を取りやめる考えを示した。 
〔写真説明〕洪水の被災地で捜索活動を行う救助隊員ら=7月6日、米南部テキサス州ハント(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)