【イスタンブール時事】パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市でイスラエルが開始した地上侵攻を巡り、イスラエル当局者は、イスラム組織ハマスとの戦闘が今後1、2カ月の間に激化するとの見通しを示した。ロイター通信が17日報じた。ガザ保健当局は17日、2023年10月のガザ戦闘開始以降の死者数が6万5000人を超えたと発表。ガザ市での戦闘が本格化しつつある中、民間人死者数の増加に歯止めがかかっていない。
 ハマス壊滅に向け、ガザ市制圧を目指すイスラエル軍が16日に同市での地上作戦開始を発表した後、軍の戦車部隊が市の西側や中心部へ向かって進軍。ただ、移動距離は短く、大規模な動きは伝えられていない。
 イスラエル軍はガザ市の人口の4割に当たる40万人が既に避難したと推計。イスラエル当局者はロイターに対し、軍事作戦の目的は民間人を「人道地区」がある南部へと移動させることだと主張した。
 イスラエル当局者は、ガザ市制圧には数カ月を要し、10万人の民間人が市内に残るとの見立てを明らかにした。ただ、ハマスとの停戦合意が実現すれば、作戦中止もあり得るとの見方も示した。
 ガザ市では17日、大勢のパレスチナ人が脱出を図った。AFP通信は、大きな荷物を抱えて徒歩や車で南部へ移動している人々の映像を捉えた。10人の親族と共にガザ市を離れた36歳の女性は「昨夜はテントを張る場所もなく、海岸近くの道路で一夜を明かした。一晩中泣いた。皆で死んだ方がましだ」と語った。
 AFPはガザ当局の集計として、イスラエルの攻撃により、17日だけで少なくとも64人が死亡したと報じた。このうち、ガザ市内では41人が命を落としたという。 
〔写真説明〕16日、イスラエルの退避命令を受け、パレスチナ自治区ガザ中部のヌセイラトから南に向かう避難民(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)