2012/03/25
リスクマネジメントの本質
中核事業とは
BCP では中核事業を特定し、その事業の目標復旧時間を定めるとされています。わが国の BCP の解説書には「中核事業」の決定方法についてはあまり記述がなされていないように思います。
「本業再強化の戦略(*1)」と言う書物では、中核事業 (Core Business)を
①自社に最も高い収益をもたらす顧客層
②社において最大の差別化要因になっている戦略 スキル
③自社に不可欠な商品・サービス
④最重要チャネル
⑤その他上記4つを支える重要経営資産(特許・ ブランド・ネットワーク拠点など) と定義しています。
中核事業とは「その企業の本質を規定している、 あるいは企業の成長ミッション ( 持続的な売上、利益の創出 ) 達成のために不可欠な、商品、スキル、 顧客、チャネル、地理的要因の組み合わせである。 実際に中核事業を定義する際には経営陣に激しい議 論が起こるかもしれない」と同書に記述されていま す。
(*1)クリス・ズック、ジェームス・アレン著 , 須藤美和監訳 2002 年日経 BP 社 P.26
私は日本でも有数の BCP のコンサルタントの方に、 「中核事業を決定するに際し、企業とどういう 議論をされるのですか」とお聞きしたことがあります。その方は「中核事業を決めるのは企業です。われわれは企業が決めた中核事業を前提にしてサポー トをします」と答えられました。それも一理はあります。しかし、この場合、企業側の自覚が大切だと 思います。
BCP の策定にあたり「中核事業」について多くの企業は、最も売上の大きい、あるいは利益の大き い事業部門を考えるのではないかと思います。それで良いのでしょうか。中核事業を特定することは、 自社の事業の将来を見極めることだと思います。わが国では、技術的なことが先行して、経営の根本思想が欠落しているのではないかと思います。
つい先日 BCM のセミナーに参加しました。ある大メーカーのBCM 体制構築と展開の報告をお聞きしました。各セクションごとに BCM の担当者を養成し、マニュアルを作り展開したというお話は大変 参考になったのですが、中核事業については全く言及されなかったことに違和感を覚えました。BCM においてもリスクマネジメント体制を作り展開するのと同じように、先に述べたレベルⅠ段階までは全ての部門に一定のレベルの BCM 体制を確立させることが大事だと思いますが、リスクマネント体制の 確立とは違うはずです。どこで災害が発生したかにもよりますが、 広域災害発生時に中核事業を定めて、 限りある資源をいかに有効に活用するのかという点にも例え抽象的にも言及されるべきだと思いました。その大メーカーは今事業の再編成が遅れて業績が不振に陥っています。BCP の担当者レベルでも、 こういった経営的な視点が無い(あるいは意識して避けたのかも)ことが、全社的にも問題を起こしているのではないでしょうか。先にも述べたように、 中核事業を特定することは、自社の事業の将来を見 極めることだと思いますから避けて通るべきではないと考えます。
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