2016/05/24
誌面情報 vol55
ITから経営課題へ
必要とされるフレキシブルさ
現在のIT基盤にはいろいろな課題がある。攻撃されてすぐ感染するほど脆弱なシステムは問題だが、未管理のデバイスがたくさんつながっていることにも注意を払う必要がある。そこからデータを簡単に持ち出されるためだ。インストールしたアプリケーションを外部からコントロールできる状態のまま放置しているケースもよくある。またシャドウITとも呼ばれている外部ストレージのように使いやすい便利な外部サービスが管理できていないのも問題だ。社員が使うのを会社が把握できていない。また、企業内部の人間が情報流出に手を染めることもある。
対策として、どこを強化すればいいのか。まず攻撃をブロックする必要がある。また、いろんなデバイスを誰が所有し、どこにあり、どう使われているかを把握し管理する必要がある。外部のサービスを使用停止にするのは実はダメな対策だ。「使うな」と言われると別のサービスを見つけるだけなので、禁止するのではなくこのサービスを使ってと対案を伝えるほうが確実に機能する。
マイクロソフトは2002年からトラストワージー・コンピューティングといって信頼性の高いコンピューティング環境を提供しようとしてきた。理由は2001年にネットワームに感染して世界中のマイクロソフトサーバが停止したことがあったため。セキュリティからプライバシー、可用性、信頼性、それを使う社員教育からセキュリティポリシーまでビジネスプラクティスを体系立てたアプローチを推進してきた。
製品開発も例外はなく、セキュリティのデザインを組み込んだライフサイクルを設定している。セキュアバイデザイン、セキュアデベロップメント、セキュアバイデフォルト、セキュアバイデプロイメント、この4つをセキュアバイと定義して開発を進めている。これら改善活動は継続的な取り組みで終わりのないプロセスだ。
安全な環境をつくるのに物理的な層の対策を強化し、ネットワークを強固にし、ID認証をレベルアップさせる。ID認証には顔認証もあるが最も強固な方法は2段階認証。2つのIDを突破する手間を攻撃側もかけられない。さらにホストの管理体制、アプリケーション、データそのものも含め統合的に管理してセキュリティを強化する。
システムの構成についても、ゾーニングをしっかりと区分けする。クラウドも安全性を高める対策の1つだ。クラウドを疑う人もいるがプロのクラウド業者に任せたほうが安全。PCやスマートフォンなどの端末を紛失したときに遠隔操作でデータを消し、ロックできる機能も有用だ。
Windows10のセキュリティ機能はかなり高い。社内ではそれ以上にウイルス対策ソフトなどは使っていない。ペンタゴンに次いで攻撃を受けている組織にも関わらず、先ほど説明したように感染例は少ない。アンチウイルスソフトが不要と言っているのではなく、Windows10そのものできちんと防げている点は強調しておきたい。
マイクロソフトは受け身の対応だけではなく、オフェンシブな取り組みも実行している。米国ではデジタル犯罪ユニットがボットネットなどの悪質な攻撃側の拠点を見つけ出し、警察と協力して現地でハードウェアを差し押さえる(テイクダウン)。そして民事訴訟を起こす。こんな取り組みも行っている。
セキュリティは経営層の問題。経営の問題として必要な措置をとることを推進してほしい。
[2016年4月8日に開催したIT-BCPセミナー講演より]
誌面情報 vol55の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方