2019/06/28
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
革命技、リバースモーゲージ
さてこの方、一人暮らしなのです。貯蓄が800万円あるとはいえ、家を新築するとなれば、225万円支援金があっても、借り入れして利息を払っていかなければいけないですよね。老後の余力がなくなってしまいます。この場合、修理を選択したら、支援金は加算分と合わせて150万とはなりますが、出費を減らすことはできます。ただ、モデルケースでは900万円かけて自宅を修理をしても修理しきれなかった家なのです。修理が得策かどうか微妙なケースです。
ここで、トランプゲーム・大富豪(大貧民)の革命技か? と思うような技も使えます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/大富豪
ローカルルールの中では「8切り」とともに最も広く知られたものであり[6]、同じ数字のカードを4枚以上出すことでジョーカーを除くカードの強さが逆に(3が最も強く、2が最も弱く)なる。再び革命(反革命、革命返し)が起きれば元に戻る。革命状態になる条件を満たしたカードを出した場合、そのプレイヤーが革命状態にするか革命状態にしないかを自由に選択できるというルールもある。
それが、こちら。

リバースモーゲージ貸付カードです。どんな制度かというと、ゲーム作成者の弁護士・永野海先生が「資本主義制度の中でありえないほどの条件での貸付」とおっしゃったほどの制度です。
災害時のみの特例制度なのですが、60歳以上の方に限定されます。あらたに借り入れしてまで家を新築や修理なんてできない…。そんな方も新築できるようになる制度なのです。しかも返済は、金利のみなのです。600万円借り入れで月1万円程度なので、家を借りるよりも安いですよね。保証人も不要。
そんな怪しげな制度、なにか悪いことがあるに違いないと思われると思います。悪いことといえば、死亡時に売却されることになるということ、特に60歳未満の子ども世代と同居している場合には、リバースモーゲージ貸付を受けた親が亡くなった途端に、子どもらが退去か一括返済を迫られるというリスクがあります。
ただ、被災した地方の土地で、誰も相続人がいないというケースはとても多いです。そのような場合、買い手もつかない場合も少なくなく、空き家となって「負動産」とまで言われてしまう可能性もありますよね。空き家になるくらいなら売却まで面倒をみてくれる災害時のリバースモーゲージ貸付はありがたい制度とみることもできます。相続したいと思えば、残金支払いでもちろん相続も可能です。
熊本地震や西日本豪雨で活用された制度ですので、詳しくは以前書いたこちらの記事をお読みください。
■一部損壊だと支援なし?「り災証明一本主義」の弊害と「災害ケースマネジメント」を考える
https://www.risktaisaku.com/articles/-/10778
この災害時のリバースモーゲージ制度は、一部損壊でも利用できます。
ゲームをしていて出てきた意見は、「地方の家は一人暮らしには大きすぎる家が多い。平家でコンパクトなバリアフリーの家にしたらいい」という声がありました。
私は、こちらに以前書いたような、ヒートショックによって人が亡くならない、そして、光熱費がかからない住宅をこの制度で新築したらいいかもなんて思いました。
■自宅を防災仕様にすれば、お肌ぷるぷる!?
https://www.risktaisaku.com/articles/-/14528
という具合に、本来なら家を快適にすることは諦めてしまう60代以上の方が災害時という条件を満たす事で使える、資本主義化の制度とは思えない優遇に、革命カードだ! と私は思っています(厳密には、通常のリバースモーゲージより、利息は高めの設定になってます)。
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