2019/07/18
昆正和のBCP研究室
■実施計画書の作成
メンバーが集まったら、全員でBCPを作ることの意義や目的を共有するためにも、会議推進のための実施計画書を作成しよう。項目としては、例えば「BCP策定会議の目的」「守るべき事業」「成果(アウトプット)」「会議メンバー名」「完成までのスケジュール」などである。
なお、実施計画書を作ったとしても、直ちに参加者全員の正しい理解が得られるとは限らない。BCPに対する認識はそれぞれ異なるし、中には懐疑的なスタンスで臨む人もいるだろう。そこで、会議を進める際には次の2点に留意したい。
(1)BCPに対する認識を確認する
BCPは、よくも悪くも経営者や管理者層の目線で見たとおりのものができる。社長や管理者層がBCPを防災マニュアルと同等のものと勘違いしていたり、取引先からBCPを作るように頼まれたからとか、自社をアピールするための宣伝ツールとしか考えていなかったりすると、その程度の内容の会議で終わってしまうだろう。会議の初回会議ではBCPに対する参加者の認識を見極め、間違っているようなら正しい方向に導くようにしたい。
(2)有効性や価値を裏付ける資料を用意する
経営者は費用対効果を見る目がシビアである。ある活動を立ち上げるとき、それがどれだけコストがかかり、どれだけの価値を生むのかといった点に着目する。例えば社長から「非常時備蓄は何がなんでも全従業員の数だけ必要なのかね?」といった質問が出る。この時「BCPの教科書にはそう書いてあるのでその通りです」と答えたら社長は納得しないだろう。もし社員の7割が徒歩で通勤可能な圏内に住んでいるなら「非常時備蓄は、ひとまず全体の3割を占める遠方通勤者の人数分に限定します」と答えることもできる。可能な限りこうした情報を事前に準備しておきたい。
(了)
- keyword
- BCP
昆正和のBCP研究室の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方