■会議メンバーの構成

BCPの策定は経営者自ら関わるべき「意思決定プロセス」である。データのバックアップ方式をクラウドに移行したり衛星電話の導入を検討する等の支出の承認はもとより、重要業務のプライオリティの決定、代替手段の選択と決定は、経営者や部門責任者の経験と判断に負うところが大きい。BCPを作成する実務担当者の一存では決められない。BCPは緊急時における事業の存続を左右するプランだから、その実効性を確保するためにも、上に述べたように経営者や管理者層を巻き込んだBCP策定会議としてスタートさせるのが望ましい。以下では会社上層部が参加する会議を立ち上げることを前提に、BCPの段取りを考えていこう。

(1) 経営者の参加
社長または社長と同等の権限を委任された役員クラスが総責任者として参加する。これは、BCP策定の各局面でトップダウンによる意思決定を必要とすること、緊急時は総指揮者としての社長の存在が重要であることによる。

(2) 管理者層の参加
部長、工場長、所長クラスの人々が該当する(代理として課長も)。管理者層については、それぞれの下位の責任者、つまり様々な工程や業務の現場を熟知する主任クラスの人々が参加することで、より具体的に作業を進めることができる。
 
ときどき「BCP策定会議メンバー」と「緊急対策本部メンバー」を同じなのか、別なのかという質問を受ける。中小企業の場合は緊急対策本部を構成するメンバーでBCP策定会議を推進しなければならない。メンバーが異なるとせっかく策定プロセスを通じて共有・合意した内容が、対策本部組織に引き継がれない可能性があるし、中小企業では、異なるメンバーで進めるほど人員や時間に余裕がないため、必然的に同じメンバーになる。会議におけるメンバーの割り振りは例えば次のようになる。

・会議責任者…社長(緊急対策対策本部長でもある)
・事務局…総務・人事部長(議事録を作成したり、意見・調査結果をまとめるスタッフを含む)
・参加メンバー…各部門の立場から戦略的にBCPの方針を立案するメンバー
  ◇生産部長
  ◇営業部長
  ◇情報システム部長
  ◇経理部長その他