風疹対策は予防接種のみです

2018年後半から風疹(ふうしん)の報告が増加しています。患者の多くは予防接種を受ける機会がなかった20代後半〜50代までの男性です。風疹は微熱、紅斑性班状丘疹、全身のリンパ節腫脹(しゅちょう)などの症状を特徴とする比較的穏やかな疾患ですが、妊娠中に罹患(りかん)すると胎児に先天性風疹症候群を起こすことがあります。

特徴:発熱と発疹、リンパ節腫脹

症状 
風疹それ自体は、多く場合軽症の経過をたどります。症状としては、発疹、37〜38度前後の発熱、全身のリンパ節の腫脹、特に耳の後ろのリンパ節腫脹は特徴的とされています。発疹は薄い赤色の班状丘疹(きゅうしん)が顔から始まり、全身に広がっていきますが、色素沈着などを伴うことなく3〜4日で消失します。軽度のかゆみを伴うこともあります。発疹とほぼ同時に発熱がありますが、2~3日で解熱します。リンパ節は発疹出現の数日前から頸部、後頭部、耳介後部 (耳の後ろ)の腫脹が出現しその後全身のリンパ節が腫脹します。自分では気が付かず、医療機関で診察を受けたときに指摘されることもあります。潜伏期間は14〜21日です。

また感染しても発症しない不顕性感染が20〜40%あるといわれています。合併症は非常にまれですが、髄膜脳炎(6000例に1例)、血小板減少性紫斑病(3000例に1例)、関節炎、肝炎などの報告があります。

妊娠中に風疹に罹患すると、胎児死亡や流産を起こすことがありますが、さらに生まれてくる子どもに先天性風疹症候群が起こることがあります。特に妊娠前半に罹患した場合に頻度が増加します。先天性風疹症候群は、難聴、眼科的異常(白内障など)、心疾患(動脈管開存、肺動脈狭窄が多い)のほか、中枢神経障害、成長発達遅延などを認めることがあります。母親が顕性の風疹の症状(発疹)を生じても胎児に感染が及ぶのは3分の1ですが、感染した胎児の3分の1が先天性風疹症候群を発症します。胎児が妊娠3カ月未満で感染した場合で約20%、4カ月で7%以下に発症するとされています。ただし母体が不顕性感染であっても胎児が先天性風疹症候群を発症することもあるといわれています。

2012年から2013年にかけて風疹の流行があったために、2012〜14年の間に45名の先天性風疹症候群の患者が確認されており、さらに2018年末からの風疹の流行と関連していると考えられる患者の報告が2019年6月26日現在3名あります。2015~18年前半は風疹の流行がなかったので2015~18年は先天性風疹症候群の報告はありませんでした。