窓が黒く焦げた京都アニメーションの建物(筆者撮影)。建物の裏から見たものです。窓が小さいですが、女性用トイレの斜め格子の枠を外して外部から2人を助け出したそうです。隣は男子トイレ。従業員は裏側から出入りしているようです。土地の人はお昼に従業員がコンビニへ昼食を買いに出掛ける時だけすれ違うと言ってました。愛想よくお辞儀をしてくれる。その他には土地の人との交流はないとのことでした

京アニ(京都アニメーション第1スタジオ)で7月18日、放火事件が発生し、取り返しのつかない痛ましい悲劇が起きました。

私は、この事件をテレビや新聞報道で見たときふに落ちない点がいくつかありました。そこで7月26日、火災現場を訪ねてみることにしました。同時に宇治市役所総務課、観光振興課、宇治市消防本部などを取材訪問しました。また京アニ第1スタジオの近隣住民にもお話を伺いました。そこで得た貴重な情報を取り入れながら、疑問点を解きほぐしてみたいと思います。それは3つの視点、すなわち、会社とその構成員の自助、共助としての地域の役割、事件を取り巻く公助の役割で、順番に述べたいと思います。災害食とはかけ離れた内容ですが、自助、共助、公助という枠組み、そして本気で考えることはどの事故も災害も共通に求められるものです。

1. 自助:施錠や守衛の必要性

京アニでは、建物に入るとき施錠がされていなかったのか、あるいは門番に相当する役目の人はいなかったのか? 私は、長く女子大に勤めていましたが、門の前には守衛さんがいて外来者を見張っていました。その甲斐あって、不審者がキャンパスに侵入したことは1度もありません。また、個人的には自宅に3度泥棒に入られましたが、全て自分の油断のせいでした。その後、近くのゴミ捨て場に行くときでも、玄関に必ずカギをかけます。知人はその用心深さを見て笑い飛ばしますが気にしません。この2つの経験から、私は「火事や泥棒」は「一瞬」の隙で起こるという教訓を学んでいました。

2001に発生し、8人が殺害された大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件では、当日たまたま校門の施錠がされていなかったことが問題視され、文部科学省は学校の安全対策の強化として、校門の施錠や防犯カメラの設置など敷地内への不審者の侵入防止を徹底するよう各学校に指示しました。

ですから、容疑者が建物の入り口から堂々と勝手に入って(不法侵入)ガソリンをまいて火を付けるというのは、断じてあってはならないと思うのです。その間、誰にも出会わなかったとしたら、容疑者はしめしめと思ったに違いありません。もし、誰かとその場で出会ったら34人の命は助かる可能性は高かったでしょう。容疑者が真新しい包丁を6本も用意していたのはその時のために準備していたのかもしれません。

ところが、現地で聞いた話では、玄関は自動ドアで通常カギがかかっているらしいのですが、事件当日はたまたま来客が予定されていたのでカギをかけていなかったのではないかということです。玄関のセキュリティーはこんなことでいいはずがありません。もし守衛を置くとすれば、1人ではダメで、責任を完璧に果すためにはトイレ、食事、休憩なども考慮して交替要員が必要です。

企業の経営状況も知らないで偉そうなことを言うつもりはありませんが、それくらいのコストをかけずに安全が守れるのでしょうか? もしこのような事件が続いたら、途端にどの企業も慌てて警備員を置くのでしょうが、そんな後手後手の危機管理でいいのでしょうか?

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