押しつけではなく、寄り添う支援が大事

支援者がいいと思うことを勧めるのが支援ではありません。母乳がいいと支援者が思っているからといって、押し付けてはいけません。また、ミルクが プッシュ支援(注1)で送られてきても、それを無条件に乳幼児がいる全ての人に配布することは、必要な人に行き渡らなくなる最悪の配布方法です。防災イベントでのミルクの試供品頒布や試飲も国際基準では、ミルクへの不適切な誘導として禁忌とされています。支援者には、実は、高度な支援能力が求められているので、国際基準に合致したアセスメントの方法について、別途、研修を始めていたところです。

COVID-19の影響で対面の研修を実施できない状況ですので、オンラインでの研修も検討中です。でも、もし万が一この状況で自然災害が発生したら、避難所にも行けない状況、物資の受け取りもできないかもしれない状況、さらに物資自体の流通も滞り、買い占めも起こり得る最悪の可能性も私たちは想定しないといけません。乳幼児家庭への支援は、今まで以上に流通物資に頼らなくて済む支援の必要性が高まっていると考えています。まずは、国際標準としても推奨されることになったこのマンガを、ダウンロードして配布していただくことは自由ですので、災害が起こる前に皆さまの活動にお役立ていただければ幸いです。

嬉しいことに、ENNのサイトに掲載されたことを知った日本を代表する著名なNICU(新生児集中治療室)からマンガをパンフレットに使用するとのご連絡をすでにいただいています。

ほんとにマンガってすごいですね♪

日本からの発信は英語&マンガになれば、世界に役立つ情報になることを確信したので、今後も世界と連携してさまざまな対策に取り組んでいきます。大変な時ですが、皆さまも一緒に乗り越えていきましょう♪


(注1)プッシュ支援とは

内閣府ホームページ
http://www.bousai.go.jp/jishin/kumamoto/kumamoto_shien.html
発災当初は、被災地方自治体において正確な情報把握に時間を要すること、民間供給能力が低下することなどから、被災地方自治体のみでは、必要な物資量を迅速に調達することは困難と想定されます。
このため、国が被災府県からの具体的な要請を待たないで、避難所避難者への支援を中心に必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に物資を緊急輸送しており、これをプッシュ型支援と呼んでいます。

コトバンク
https://kotobank.jp/word/プッシュ型支援-1741719
地震や豪雨などの災害時に、被災地の自治体からの具体的な要請を待たずに食料や仮設トイレといった物資を緊急輸送する支援方法。2011年の東日本大震災で被災者に物資が十分に行き渡らなかった経験をふまえ、16年の熊本地震で初めて実施された。2018年の「平成30年7月豪雨」では、大きな被害が出た広島県、岡山県、愛媛県を中心に支援物資が届けられた。ただ、取り組みの強化が求められる一方、支援物資が被災者の要望と一致しないというミスマッチも起きている。同支援はあくまでも緊急時の混乱を乗り切るための応急措置であるため、早い段階で被災者の要望に応じた支援物資を供給する「プル型支援」に切り替えることが求められる。