2020/03/13
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
新型コロナ対応としてもつながった日本と世界のマンガの絆
押しつけではなく、寄り添う支援が大事
支援者がいいと思うことを勧めるのが支援ではありません。母乳がいいと支援者が思っているからといって、押し付けてはいけません。また、ミルクが プッシュ支援(注1)で送られてきても、それを無条件に乳幼児がいる全ての人に配布することは、必要な人に行き渡らなくなる最悪の配布方法です。防災イベントでのミルクの試供品頒布や試飲も国際基準では、ミルクへの不適切な誘導として禁忌とされています。支援者には、実は、高度な支援能力が求められているので、国際基準に合致したアセスメントの方法について、別途、研修を始めていたところです。
COVID-19の影響で対面の研修を実施できない状況ですので、オンラインでの研修も検討中です。でも、もし万が一この状況で自然災害が発生したら、避難所にも行けない状況、物資の受け取りもできないかもしれない状況、さらに物資自体の流通も滞り、買い占めも起こり得る最悪の可能性も私たちは想定しないといけません。乳幼児家庭への支援は、今まで以上に流通物資に頼らなくて済む支援の必要性が高まっていると考えています。まずは、国際標準としても推奨されることになったこのマンガを、ダウンロードして配布していただくことは自由ですので、災害が起こる前に皆さまの活動にお役立ていただければ幸いです。
嬉しいことに、ENNのサイトに掲載されたことを知った日本を代表する著名なNICU(新生児集中治療室)からマンガをパンフレットに使用するとのご連絡をすでにいただいています。
ほんとにマンガってすごいですね♪
日本からの発信は英語&マンガになれば、世界に役立つ情報になることを確信したので、今後も世界と連携してさまざまな対策に取り組んでいきます。大変な時ですが、皆さまも一緒に乗り越えていきましょう♪
(注1)プッシュ支援とは
内閣府ホームページ
http://www.bousai.go.jp/jishin/kumamoto/kumamoto_shien.html
発災当初は、被災地方自治体において正確な情報把握に時間を要すること、民間供給能力が低下することなどから、被災地方自治体のみでは、必要な物資量を迅速に調達することは困難と想定されます。
このため、国が被災府県からの具体的な要請を待たないで、避難所避難者への支援を中心に必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に物資を緊急輸送しており、これをプッシュ型支援と呼んでいます。
コトバンク
https://kotobank.jp/word/プッシュ型支援-1741719
地震や豪雨などの災害時に、被災地の自治体からの具体的な要請を待たずに食料や仮設トイレといった物資を緊急輸送する支援方法。2011年の東日本大震災で被災者に物資が十分に行き渡らなかった経験をふまえ、16年の熊本地震で初めて実施された。2018年の「平成30年7月豪雨」では、大きな被害が出た広島県、岡山県、愛媛県を中心に支援物資が届けられた。ただ、取り組みの強化が求められる一方、支援物資が被災者の要望と一致しないというミスマッチも起きている。同支援はあくまでも緊急時の混乱を乗り切るための応急措置であるため、早い段階で被災者の要望に応じた支援物資を供給する「プル型支援」に切り替えることが求められる。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方