約1300万人都民を守るために、新宿以外に第2都庁設置を高崎氏は提案

政府の被災想定、死者1万人超

日本列島は阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と大規模地震に相次いで襲われている。大水害も毎年のように発生している。まことに日本は「災害列島」である。近い将来の発生が確実視されている東京直下地震へ備えはどうであろうか。上記の大地震で首都東京は幸い大きな被害を受けず、一応、救援・復旧・復興を支える首都の国力が存在した。しかし、もし東京が大震災に襲われた場合、日本には首都を救援・復旧・復興を支える余力があるとはとても考えにくい。

この問題に関しては、「大災害と復旧・復興計画」(北海道大学大学院教授、越沢明、2012年刊行)に教えられることが多かった。越沢教授は都市計画論のエキスパートであり、同書から一部引用させていただく。

世界的な政治・経済の競争の中で、先進国として日本がまずまずの繁栄を維持してきた源泉は東京と首都圏にある。東京と首都圏の機能を大阪や名古屋で代替するのは不可能に近い。その理由は、首都機能とは国会、官庁街、ビジネス街の存在にあることは言うまでもないが、それ以上に東京都には約1300万人、首都圏では約3500万人が生活しており、大企業などが国際的に活動していることによる人材・経済・情報・文化の蓄積があることに注目しなければならない。

阪神・淡路大震災の後、2003年9月、政府の中央防災会議(会長・内閣総理大臣)のもとに、首都直下地震対策専門委員会を設置し、2005年7月に検討結果を公表した。国が首都東京を直撃する大地震の被災規模、その防災対策を検討・公表したには戦前も戦後もこれが初めてである。

調査報告は、震源は東京湾北部、マグニチュード7.3、冬の午後6時に地震発生と想定した。その結果は、建物のり災は85万棟、死者は1万1000人(死因は主に建物倒壊で約3100人、火災で約6200人)、負傷者は21万人、がれきの発生量は9600万tであった。経済被害額は112兆円という国家予算をはるかに上回る巨額な数字(日本政府の1年間の租税収入の2倍を超える)となり、直接被害は67兆円、間接被害は45兆円であった。この被害想定では津波は想定外・計算外となっている。

また、交通被害による死者予想は2000人と極めて少なく、実際に大震災となれば、新幹線、地下鉄、高速道路、幹線道路の脱線・倒壊・閉塞・衝突・水没による死傷者や閉じ込め・パニック圧死などにより、死者はもっと大きくなるはずである。

調査会報告での新しい指摘は、民間企業の本社機能の維持のためにBCP(事業継続計画)の作成の呼びかけであり、日本の大手企業では策定が広がり、東日本大震災の際はこの調査会報告で指摘していた帰宅難民問題が実施に発生した。

この調査会報告に基づき、2005年と翌年、政府は中央防災会議で首都直下地震対策大綱、首都直下地震防災戦略大綱、首都直下地震応急対策活動要領を定めた。だが、首都直下地震が発生した場合に、実際に首都の復旧・復興をどう進めるか、その具体的な方針は白紙であり定まっていない。