そして、必要な物資を必要な分だけ被災者に届けるという課題については、避難所への配送時に、次の配送で何がどのくらい必要かを聞き取り連絡票で管理するいわば「災害時の御用聞き」の取り組みを行うことで解決した。 

阪神・淡路大震災における救援活動では、延べ1万1000人のドライバーと6200台のトラックを使った。

こうした過去の災害対応の経験と燃料マネジメントに象徴される環境への取り組みが同社のBCPの根底にある。

燃料の使用量を減らす
燃料マネジメントでは、常時から使用量を減らすことで、災害時など緊急調達に頼らなくても事業が継続できる仕組みを目指している。自社が使う軽油の使用量を減らせば、現行の備蓄量にもプラスアルファが生まれるというわけだ。 

その象徴とも言える取り組みが、幹線輸送をトラックから鉄道や船舶へ転換する「モーダルシフト」だ。2004年からは、日本貨物鉄道(JR貨物)と共同開発した世界初の電車型特急コンテナ列車「スーパーレールカーゴ」を運行している。東京と大阪を6時間で結び、積載量は上下各1運行で、10トンの大型車56台分に相当するという。スーパーレールカーゴ、それ以外の鉄道輸送、海上輸送を合わせた年間のトラック削減台数は、10トントラック8万5447台に達する。環境負荷の低減だけではなく燃料問題の解消、さらには、交通事故防止や長距離運転による労務問題の解決にもつながる。

もう1つは、大規模な荷物の集約施設であるハブセンターの整備だ。行き先ごとに荷物を集約して仕分けることで輸送を効率化し、トラックの使用便数を減少させている。これまでに全国で25カ所整備した。 

2014年には、東京都心部にゼロエミッションの商用電気自動車(EV)を導入した。燃料を使わないだけでなく、災害時には、走る蓄電池にもなる。 

さらに、燃料備蓄に頼らない仕組みとして、東京、大阪、名古屋、福岡の都市部を中心に340カ所のサービスセンターを設置。台車や自転車を用いた人力での集荷配達により、車両1500台相当の抑制につながっているという。

このほか、ソフト面では全車でアイドリングストップを推進する。「宅配荷物の取扱い個数がひと昔前に比べ格段に増えているということを考慮すれば、燃料の備蓄体制の維持と、緊急調達の確実性を上げるという施策だけではいずれ限界がくるでしょう」と幡谷氏は使用量削減の重要性を補足する。 

これらの取り組みにより、環境面では年間16万2000トンのCO2削減を達成しているほか、燃料費などの大幅なコスト削減にもつながっており、BCP、環境、経済の一挙三得を実現している。

(了)