BCPは経営の不確実性に追従する
第12回:経営のためのBCP
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2024/08/16
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
BCPの計画と現実とのギャップを、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いの原因と対処を考える本連載。現在は第2章「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」のなかに潜む「あるある」を論じています。今回も前回に引き続き、事業継続戦略とは何かについて、筆者の考えを語ります。
②事業継続戦略
・事業継続は経営マター
BCPが対応するリスクの範囲は「不確実をもたらすリスク」であり、まず地震、台風、積雪、豪雨などの自然災害や、これらにともなう二次災害、感染症の流行があげられます。
これらのリスク事象は、自組織で発生をコントロールすることはできないものの、リスク対策によって影響を低減することは可能です。そしてもし影響を受けた場合は、リソースの制約の度合いの組み合わせによって事業継続戦略を選択する「マルチハザードBCP」で対応していくことになります。
次に、施設事故や車両事故、不祥事、オペレーションエラー、サービス品質の低下、外部からのセキュリティ攻撃、情報システムの停止などの組織内部の事象です。これらの事象は、日常業務にリスク対策を組み込んで予防することで発生をコントロールすることが可能。「個別の事象に対するマニュアル」によって影響の低減と発生後の対応を行うことが多いと思われますが、リソースへの影響によっては「マルチハザードBCP」で対応することもあるでしょう。
最後に、発生のコントロールが不可能で影響の範囲を予見しにくい事象です。具体的には気候変動、資源の枯渇、為替などの金融情勢、人権問題、生物多様性、バッタの大群などですが、このような事象に対して「BCPは無力である」と断じてはいけません。
●不確実をもたらすリスク事象とBCP
リスク事象による直接・間接の影響を素早く見極め、リソース制約に対して事業のイノベーションに取り組むこと、既存のBCPで対応すること、新たな成長戦略(成長戦略もBCPであり大胆な代替戦略といえる)に舵を切ること、あるいはそれらを同時に行うことは、事業部門ではできません。経営が経営の役割として行っていくものであり、これが経営レベルのBCPといえるのではないでしょうか。
●リスク事象の影響を見極め経営の舵を切る
ざんねんなBCPあるある―原因と対処の他の記事
おすすめ記事
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方