コロナのリスクを逆に高めたPCRルールの妄信
第75回:ルール至上主義の弊害(4)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2024/11/15
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
安全と安心を語る時、その二つの関連性と本質を知っていなければならない。
安全とは科学的立証にもとづくものであり、物理的現実を統計数字によって示すものである。一方、安心は気持ちの問題であり、安全な状態を説明され、その状態を維持継続するためのルールやガイドラインの運用が適切であることを示されて得られる精神的なものである。
つまり、この二つは物理的事実と精神的心情というまったく異なるベースに拠って立つものということだ。
安心が社会にとって必要不可欠な要素であることは疑いようがないが、それは安全であることの説明と、安全を継続する仕組みによって成立するものであり、安全であることは大前提である。逆に言うと、安全であれば、安心させる説明や仕組みの構築はある意味必須条件である。決して不安を煽って安心を語るべきではない。
一方で、安全を100パーセント完全無欠としで語ることは不可能であり、統計的数値、つまりリスク観点で一定のリスクは受容することになる。ゼロリスクを社会に求めることはあり得ないからだ。
しかしながら、かつて発せられた『安全だけど安心ではない』という迷言のもと、安全に見向きもしないで安心を語る風潮が生まれ、マスメディアもこれに乗っかった。その構造で安心を得るためにつくられたルールが、本当の安心を形成することに役立つわけがないだろう。厄介なのは、この種のルールは人間の弱い心に巣くい、その行動に少なからず影響を与えることである。
未知の問題や危機事態においては、安全自体が手さぐりとなり、不安が先行してしまった結果、対処としてのルールが必要になることは致し方ないかもしれない。ただ、そのようなケースでも、安全に関する事実関係をできる限り調べ、異論も含めた情報を収集し、最大リスクを想定しながらルールを定めるべきであろう。
そのような科学的で論理的なステップさえ踏めれば、たとえ間違ったルールであっても、継続的な検証のうえ、是正されていくだろう。それこそ、PDCAのマネジメントが回る仕組みが正常に機能するからだ。
従って、この正常なマネジメントが機能不全に陥ることが問題の元凶であり、それは不都合な事実から目を背けることから生まれる。まさに、日本におけるコロナ禍はその構造にはまり込んでしまったと考えられる。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方