シェークスピア4大悲劇のひとであるこの大作は若き王子ハムレットが主人公であり、時代と舞台は暗黒の中世の北欧デンマークである。文武両道にたけた青年王子は、深夜エルシノア城に現れた亡き王(父)の亡霊から、死因が叔父クロ-ディアス(王子ハムレットは父を尊敬し叔父を嫌った)による暗殺であることを告げられる。よく知られたストーリーだが、以下簡単に紹介しよう。

叔父クロ-ディアスは王位を奪うと、ハムレットの母ガートル-ドを妃とした。ハムレットは亡き王に命じられ復讐を固く誓うが、それは絶対に口外してはならない極秘の決意であった。頭脳明晰な王子は狂気を装い懐疑の苦しみに耐えながら城内で復讐の機会をうかがう。ハムレットの「かたき討ち」を妨げたのは彼の高邁な精神と優れた知性であった。ハムレットは終幕近くで復讐を遂げるが、自らも毒の塗られた刀で倒れる。美しい恋人オフィーリアとの悲恋や母ガートル-ドへの屈折した愛憎を織り込んだ復讐劇である。血に塗られた悲劇ではあるが、笑いを誘うシーン(墓堀男の滑稽話など)が散りばめられており、シェークスピアの天才性がいかんなく発揮されている。