2019/10/24
昆正和のBCP研究室
■対策本部の設置・運営拠点
緊急対策本部はどこに立ち上げればよいか。緊急事態が起こったときは、あらかじめ決められた場所に全員集合しなければならない。一般的には社内の会議室などが当てられるが、運が悪ければ予定していた部屋が被災して使えず、緊急対策本部の活動ができなくなる恐れもある。
よってBCPでは、本来の緊急対策本部の設置場所とは別に第2の場所を決めておくのが望ましい。複合ビルや工場を所有する大きな会社では、場所選びには事欠かない。建物Aが被災したら建物Bや建物Cの従業員娯楽室や食堂を使う、といったことでもよい。ただし同時に被災しないこと、なるべく電気やインターネットが使えて、ある程度落ち着いて活動できる場所を選定したい。
第2の候補地として、近隣のホテルの会議室や工業団地内の集会場などを指定する企業もある。が、このような商用および公共性の高い施設は、緊急時にはそれ相応の役割を担うことが多く、受け入れできないことも考えられるため候補から外したほうが無難である。
緊急対策本部設置の目的は一日も早く被災したオフィスや工場を復旧して業務を再開することである。その点を考えると、事業拠点からあまりに遠く離れていて通うのが困難な場所は、避けた方がよい。小規模な会社では、もし会社が被災して立入りできない場合は社長や専務の自宅を臨時の対策本部にするというケースもある。東日本大震災で本社建物が被災した仙台のある建設会社の場合、駐車場に仮設テントを張ってそこを緊急対策本部として活用したという。
昆正和のBCP研究室の他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方