2018/03/12
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
花粉症と防災・減災の一挙解決!危険なブロック塀を杉の塀に変えよう!
住民がブロック塀撤去と生け垣による安全なまちづくりを実現
生垣だと手入れが大変・・・という声もあったりしますが、東京都国分寺市では、地震の報道でブロック塀の危険を理解した住民がブロック塀撤去と生け垣による安全なまち並みを実現しました。地域のみなさんで動くと手入れが大変という相談もしやすくなりますから、素敵な試みですよね♪


3つ目に、「ブロック塀撤去の制度はあるけど、周知してもあまり利用されない」という自治体の声があります。他方で、子育て世代で講演すると、ブロック塀が怖いと思っているけど、さすがにブロック塀のお宅を訪問して、撤去して欲しいとは言えないという声があります。
ということで、ここでもマッチングして一挙解決を目指しませんか?
例えばです。推薦制度にするのです。ここを美しく安全にしたいという推薦が5人以上あった場合は、撤去費用の一部免除ではなく、全額免除にするという制度です。ブロック塀が危ないと思っていても、それを通報するのも気がひけるし、通報したところで、行政は持ち主に対し、撤去してくださいとは言えません。でも、推薦制度で全額免除になるのであれば、持ち主にもお得になるので、気軽に推薦することができます。ブロック塀の危険に気づいた持ち主が自分で推薦人を集めるというのも地域づくりになるのでありですよね!行政も、多くの人がどの道を利用し、危険を感じているか、把握することができるようになり、そこから重点的に撤去できるので効率がよいです。誰にとってもwin-winな制度になるのですが、いかがでしょうか?
名付けて「お得推薦ブロック塀撤去プロジェクト」!いかがでしょう?どこかで実現できたらいいのですが♪
最後に、ブロック塀が地震で倒壊した場合、人を傷つけたり、他人の家や壁や物を損傷したケースなどでは、損害賠償責任を負うケースがあります。地震だからいつでも不可抗力といえるわけではありません。新耐震基準を満たせば震度5ではブロック塀は倒れないはずです。そのため、震度5でブロック塀が倒れると、耐震基準を満たしていない過失がありとして責任を負う可能性が高いです。震度6はいままでは不可抗力といえる場合もありましたが、これだけ地震が頻発していると、損害賠償責任を負う可能性が広がると指摘されています。
■地震とブロック塀 補修進めよう 倒壊の責任負う可能性(法テラス)
http://www.houterasu.or.jp/news/houteki_trouble/page00_00173.html
それだけなく、先の熊本地震のブロック塀の倒壊については、「約2メートルの高さの擁壁上に立てられたブロック塀について危険な工作物であり、小規模な揺れでも倒壊することが予想できた」として、ブロック塀の所有者に対し、過失致死傷容疑で県警に告訴が検討されているとのこと。
危険なブロック塀を放置した際、命に関わる取り返しのつかない重大な被害をもたらしますし、民事上や刑事上まで負うかもしれない責任の重さも考えると、事前に撤去する以外の選択肢はないはずです。ぜひ、花粉症対策やまちの景観作りとミックスで、いろいろな制度を組み合わせて、一刻も早く撤去をお願いいたします。
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方