大会を支える2つの社会「市民とスポンサー」
第4回:オリンピックにまつわるスポーツ・インテグリティ2

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/02/03
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
いよいよ北京2022オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、北京2022大会)が開幕します。昨年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)と同様、引き続き新型コロナ禍・世界的なパンデミックの状況下での開催となり、その開催には賛否両論のさまざまな意見があり得るところです。しかしながら、アスリートが真摯に競技に向き合う姿に、きっと多くの人々が感動し、惜しみない賛辞を贈ることになるでしょう。
前回の連載では、この世界最大のスポーツ・イベントといっても過言ではないオリンピックに着目して、その開催に莫大な公的資金が投入されていることを、東京2020大会を例にとってご説明した上で、オリンピックのこのような性質に照らすと、オリンピックが社会からの信頼・応援によって成り立っていること、そしてそのような社会からの信頼・応援の基にはスポーツ・インテグリティの存在があることを述べました。
また、オリンピックを担う国際オリンピック委員会(以下、IOC)は、このことに自覚的であると思われ、スポーツ・インテグリティの確保に向けた取り組みに積極的であることをご紹介しました。
前回の文中において「IOCがインテグリティ≒信頼というときの信頼につき、誰からの信頼であるかを明示していませんが、社会からの信頼を前提にしているといっていいでしょう」と述べましたが、社会からの信頼というときの「社会」につき、公的資金の源泉たる国民・市民を念頭に置いていました。
しかしながら、ことオリンピックを考察するときには、「社会」からの信頼につき、もう少し別の角度からも眺めてみる必要があります。連載第4回となる今回は、このことについて触れてみたいと思います。
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