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第5回:オリンピックにまつわるスポーツ・インテグリティ3

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/02/14
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
前回の連載では、オリンピックを組織委員会や国際オリンピック委員会(以下、IOC)の財政面から眺めた上で、オリンピックは開催国・開催都市からの公的資金と民間企業からの資金により成り立っているといえることを明らかにしました。そしてオリンピックに対する「社会」からの信頼・応援とは、公的資金の源泉たる国民・市民からのものと、スポンサーたる民間企業からのものという2つの側面があり、オリンピックは、これらの「社会」に支えられていることをお伝えしました。
連載第5回となる今回は、オリンピックが「社会」により支えられているということにつき、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)において、それが象徴的に露わになった出来事を振り返りつつ考えてみたいと思います。
大会の名称とは異なる2021年に開催された東京2020大会について語るには、やはり新型コロナ禍を避けて通ることができません。そこで、東京2020大会開幕前後の東京が、新型コロナ禍に関してどのような状況にあったのかを確認しておきたいと思います。
東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」に掲載されている「報告日別による陽性者数の推移」から適宜の時点での陽性者数を抜き出すとともに、主な出来事を交えて時系列表を作成してみると、右の表のようになります。
新型コロナウイルスの変異株のひとつであるオミクロン株が大流行している現在(2022年2月)から改めて眺めてみると、陽性者数が少なく思えてしまいますが、当時の東京においては、ゴールデンウイーク期間をカバーした緊急事態宣言が解除されたと思えば、まん延防止等重点措置が出され、そうかと思えばまた緊急事態宣言が発出されるなど、日常生活の制約が続いていました。
そして、増減を繰り返しつつも着実に増加していく陽性者数や、それに伴ういわゆる医療崩壊の危機に、多くの人が不安を抱えていたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
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