実際に健康被害も

ただ、もし消防がやむを得ず他に消火方法の選択肢がなく、現場でPFOS、PFOAを含む泡消火剤使って、その土壌や水質が有機フッ素化合物で汚染されたことが証明されれば、たとえ正当防衛的な消防活動であっても、消防側の損害賠償、除染コストなども請求されたら免れない可能性もある。

アメリカでは、泡消火剤を使って訓練したり、現場で使用した消防士もPFOS、PFOAなど毒物の経皮吸収により、さまざまな健康障害を訴えている。

オクラホマ州では「約10年も前から、毒性が分かっていたにも関わらず、なぜもっと早く厳しく禁止しなかったのか?」として、化学消防車の隊員である消防士が、長年の泡消火剤の曝露(ばくろ)によって、ガンを発症したとして、泡消火剤の製造メーカーと販売会社に健康被害への責任を求める訴訟を起こしている。

総務省消防庁も2011年に下記の資料を環境省とともに出しているが、今でもPFOS、PFOAの泡消火剤を使って訓練したり、消火に使っている現状からすると、この資料の健康被害のリスクについての表現部分が非常に弱く、現場の消防本部に伝わっていないのではないかという現場消防隊員からの声もあるが、深刻に受け止めた消防本部とそうでない消防本部とかなりの温度差がある。

■PFOS含有泡消火薬剤を使用した 泡消火設備に関する取扱いについて 【第2版】
http://shosoko.or.jp/wp/wp-content/uploads/img/pp/pfos_awa_toriatsukai_r2.pdf

●訓練等における措置
「点検・訓練においてPFOS・PFOA等有機フッ素化合物を含んだ泡消火薬剤を放出した際、放出した泡消火薬剤を回収し、回収時の汚染物を密閉保管する」とあるが、大量に泡消火剤を放出した後の土壌に浸透してしまった泡をどうやって回収するのか?具体的には何も示していないが下記のように罰則も定められている。

●罰則について
改善命令を行ったにも関わらず、上記の義務(「取扱上の技術基準の適合義務」及び「譲渡・提供する場合の表示 義務」)を果たしていない場合、6カ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処される。

●規制対象となる消火器・消火薬剤など
PFOSを含有する消火器や泡消火設備などについては、 以下のホームページで御確認できる。

(社)日本消火器工業会HP
http://www.jfema.or.jp/

(一社)日本消火装置工業会HP
http://www.shosoko.or.jp/

・化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に相当する化学物質に係る中央環境審議会の審議結果について
http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/oshirase/cop4pops01.pdf

・化学物質の環境リスク評価 第6巻
http://www.env.go.jp/chemi/report/h19-03/index.htm
(ペルフルオロオクタンスルホン酸およびその塩)

■泡消化剤についての問い合わせ先
環境省 総合環境政策局
環境保健部 企画課 化学物質審査室
〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
Tel: 03-3581-3351(代表)
Fax: 03-3581-3370
E-mail: chem@env.go.jp
http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/pfos.html

総務省消防庁予防課
〒100-8927 東京都千代田区霞が関2-1-2
Tel: 03-5253-5111(代表)
Fax: 03-5253-7533

メガフォーム製造の国内シェアトップのDICでは「現在販売している泡消火薬剤は全てPFOSまたは使用しておりません」となっているが、「一部水成膜泡のトリエチレンテトラミンを含有する水成膜泡消火薬剤の劇物指定について。この度、弊社水成膜泡消火薬剤の一部品番に含まれるトリエチレンテトラミンが劇物指定されることとなりましたので、ご案内申し上げます。(2018年7月施行、猶予期間後10月1日適用)」と案内表示もあり、現場で安心して使える、安全な泡消火剤は難しいのかもしれない。