2019/03/19
本気で実践する災害食
手持ちの飲み物を常温で入れる
私が行った実験は、カップ麺にいろいろ手持ちの飲み物を室温で注ぎ入れ、麺が柔らかくなったら食べるということです。東京からやってきた小学生と一緒に行いましたが大変面白いものでした。この結果を紹介してみましょう。
おそらく、これまで述べた小学校の子どもの家では、すぐさま応用できると考えられます。つまり災害時にどっさりカップ麺を家に備蓄していて、それを戻すための飲み物がいろいろあるということですから、まさに実験条件がぴったりです。
【実験】カップ麺をいろいろな飲み物を使って室温で30分間戻す
カップヌードル(日清食品株式会社)77グラム(麺と具)に飲料水300ミリリットル(カップに示された量)を加え30分間室温(26℃)で放置したものAと、熱した飲料水を同じ量加えて3分間同じ室温で放置したものをBとし、さまざまな飲み物をカップヌードルに加えてA,Bを基準に、麺と汁の官能評価を筆者(関西在住)が行い、他1名(関東在住)が確認する方法にしました。
飲み物は、日ごろ身近に飲まれている茶飲料(4種)、炭酸飲料(4種)乳酸飲料(1種)野菜ジュース(1種)アクエリアス、比較対照の水(A)の計12種類。飲み物(28.4℃)をカップ麺に加えて30分間室温26℃で放置して戻しました。
■不適合な飲み物
口に含んで「甘みがある、甘すぎる」ものは麺に甘みが浸み込み、麺、汁ともに甘いため、官能評価(色、味、香り、口当たりなどの総合評価)は不適当でした(×印)。
■飲み物の匂いが強い場合
麺と汁は複雑な匂いと味わいがして好まれませんでした(×印)。
■30分間放置後吸収されずに残った汁の量
「熱水」は25ミリリットル、「水」は102ミリリットルで、熱水の場合は急速に麺に吸収されて残量が少ないことが分かります。室温では吸水が遅く熱水の10倍(30分間)の時間が掛かり、なおかつ残水量が約5倍も多いです。しかし、これはこれでおいしく食べることができ、冷麺の感触でさっぱり感があるのは、吸水がゆっくり進行したためであると考えました。他の飲み物の残水量は茶類、ぐんぐんグルト、アクエリアスは約100ミリリットルで水と似ていました。その他の炭酸飲料は残った汁の量が少なかったのですが、おそらく炭酸の泡の作用で汁の吸収が早かったのではないかと推察しました。
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方