2016/10/19
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
伸びるシルクやちくちくしないウールも登場。体感して、自分に合ったインナーを探してみよう!
機能性インナーは石油製品なので、もっと自然素材がいいという方は、シルクとウールの機能も知っておいてください。
シルクはコットンの1.5倍の汗を吸って放出します。ですが、肌の水分量以上は保水しないので、体を冷やさないのです。絹が着物として日本で愛用されていたのは、高温多湿な気候に一番あっていたからかもしれませんね。
タンパク質の構造も皮膚と似ているため、アレルギーを起こしにくい素材とも言われています。伸びない、洗濯による劣化が早いという欠点があるため、ポリウレタンを入れてのびる機能をもたせたシルクもあります。授乳服や妊婦さんの大きくなるお腹に対応したシルクのインナーもあるくらいです。

ウールは天然の元祖発熱素材という事は、あまり知られていないように思います。なんとなくあったかいと思われていたウールは、水分を吸うと保水しないばかりか、発熱までしていたのですね。だから、最近よく見かけるあったかインナーとか発熱素材と言われるものは、このウールの繊維の構造を化学繊維で再現しています。生物模倣のバイオミメティクスってことですよね。
でも、そんなに昔から信頼されていたウールがなぜ、コットンよりも活用されていなかったかというと、チクチクしたからなのです。ウールの繊維のでこぼこが、肌にあたって痛かったわけですが、最近はこのでこぼこをカットする技術がありますので、さらさらすべすべなウールなんていうのも出てきています。
そして、かつての遭難事故を調べていると、「ラクダシャツ」とか「ラクダのウール」という言葉がでてきて、キャメル素材だったのか、ウールをラクダ色に染めたものなのか、記述からはよくわからなかったりするのですが、ともかく、ウールといえば「ラクダ色」とか、単色ってイメージの方も少なくないようです。
でも、ウール、色もデザインも豊富ですよ♪花柄とかストライプとか。さらっとしているので、見た瞬間にウールだとはわからないです。ウールには消臭作用もありますし、5年以上使っているなんて人もいるくらい長持ちします。インナーにしては初期投資が高いですが、山素材としても最新の技術がつぎ込まれているので、いままでのインナーに満足できない人は試してみるといいかもしれません。

その他、アウトドアのウエアは更に進化していて、インナーの中に着る撥水素材の服で、まったく濡れた感じがしないものもでてきていて、選ぶのに困るくらいです。
インナーについて、いろんな製品をカタログ的に紹介するのもいいのかなと思ったのですが、そうすると、製品名だけで選んで仕組みを理解しないまま使われてしまってもなあ・・と思い、文章メインにしてみました。
ネットでなんでも調べられたり、おすすめ商品が書かれてますが、着心地のよさは、自分で触って体感してみてほしいです。
体感を信じていないのかなと思ったケースは、冬にコットンの5本指ソックスを履いている方の感想でした。「寒いと感じていたけど、暖かいと言われているから暖かいはずと思って使っていました。やっぱり寒かったんですね」と。
みなさん、カタログを信じて気合いで頑張りすぎかも(笑)。コットン素材だから汗で保水してしまうし、指の間すべて保水してしまって冷え続けるし、そもそも、熱源である指と指がくっついているほうが、離しているよりあったかいのです。手袋は5本指より、ミトンのほうがあったかいです。体感も、もっと信じてほしいです!
インナーの素材の性能を理解して、自然の状況にあわせて、自然を感じて、自在に素材を選べるようになっていれば、きっと普段も災害時も寒くないですよ!
(了)
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