【地域連携、福祉避難所】
東日本大震災、熊本地震では、要配慮者が一般避難所に行ったものの不安定になるため、壊れた自宅や車で過ごしていました。逆に、福祉施設に300名もの地域住民が避難してきたため、50名の重症心身障害者を抱える中、困難な状況に陥った事例もあります。自治体にとっても、福祉避難所の開設・運営は初めてであり、十分な支援ができませんでした。

そこで、自治体と福祉避難所の協定を結んで事前に役割分担や備蓄を進めたり、自治会など地域関係者と連携し、訓練を繰り返すなどの準備をすることが重要です。

【備蓄物資】
一般的に備蓄品は、施設がそのまま活用できることを前提にしていて、避難先に第1次的に持ち出すものと、そうでないものとの区別がなされていません。また食料、薬など最低限のものはありますが、発電機や暖房の対策がまったくない場合もあります。万一の際、施設外へ長期間、避難することも想定した対策が必要です。

ひな型でつくる福祉防災計画

 

私たちの(一社)福祉防災コミュニティ協会は、近年の災害状況、法改正、人権配慮や地域貢献を考慮し、従来の研修テキスト「福祉施設の事業継続計画(BCP)作成ガイド」を改訂し、7月1日に「ひな型でつくる福祉防災計画~避難確保計画からBCP、福祉避難所~」(東京都福祉保健財団発行)を発刊します。

本書は、避難確保計画の要素を取り入れるとともに、避難に関する国際的な基準である「スフィア基準」により人命・尊厳を守る知識を解説し、また福祉避難所の開設・運営・訓練の内容を大幅に充実させています。

本書を読まれた方々が、自らの施設の実態に沿って本書掲載のひな型に記入することで、計画できるようにしました。多くの福祉施設で活用され、利用者、職員、地域住民の安全安心を守ることを願っています。