時代に逆行する日本のネット規制論
第80回:情報環境の激変で顕在化するリスク(2)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2025/01/31
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回は情報環境の変化を述べたが、今回はその主役であるネット情報の規制の実態に関して語りたい。
昨年の兵庫県知事選挙以降、日本国内ではネット情報を規制すべしという論が高まっている。一方で米国などグローバル社会では規制を緩めるというまったく逆の方向に向かっている。この違いは何を示しているのだろうか。
ネット情報の歴史的変遷(といってもわずか四半世紀ほどではあるが)をたどっていけば、すでに一定の決着はついており、自由に発信できるネットの自由度を高めようとするのは当然だと筆者は感じている。しかし日本で起きているのは、その自由を抑えようとする動きだ。
ある意味、今まで情報発信を独占していたマスメディアと互恵関係にあった社会構造が抵抗勢力となって最後の抵抗を強めているように映る。そうすると、大まかには次の3つの決着以外を想定できない。
➊既得権益側が情報環境の変化を受け入れ、自らも構造改革に着手し共存する
➋既得権益側が受け入れず、新たな環境も既得権益側統制下に置く
➌既得権益側が受け入れず、新たな情報環境が主導する秩序が完成する
このうち➋は規制を強めた場合の到着点であり、まさに専制主義国家における環境と同じではないのか。筆者はこれを最悪のシナリオと感じている。
➌に関しては、いわゆる情報権力における政権交代を意味するのだろうが、自由を勝ち取るといってもそこには相当な反動が予測されるので、望ましいとは思えない。やはり、ハッピーストーリーは➊と思っている。
間違えないでいただきたいのが、既得権益側の判断を適切な方向に向かわせるのは、自由な情報発信を望む多くの声であるということだ。つまり、今までサイレントマジョリティーであった民意の表出以外にないだろう。自由にともなう覚悟を持った個人や企業の行動が、民主主義の決める方向性となって社会を動かすのである。
それほど、情報環境は大きな歴史的転換点にある。だが、そうした状況にあること自体、世間ではあまり認識されていないのが実態であろう。それが問題なのだ。筆者はネット黎明期からこの情報環境に少なからず関わってきたので、その経験から、今起きている事象をマクロ的な視点で解明していきたい。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/23
W杯に水を差したDAZN契約プラン表示が原因で大炎上
世界最大のスポーツイベントであるサッカーのW杯が6月12日に開幕。日本は1勝1分けで決勝トーナメント進出を大きく引き寄せている。その裏でW杯の視聴契約を巡ってSNSで大炎上していたのが、スポーツコンテンツの配信会社であるDAZNだ。W杯の全試合を視聴できる年間契約プラン表記に問題があり、13日にお詫びを発表した。しかしその対応も反感を買い、炎上は継続。最終的には年間プラン自体を取り下げた。DAZNの何が問題だったのか、消費者問題に詳しい住田 浩史弁護士に聞いた。
2026/06/23
企業の副業解禁とコンプライアンス対策を支援
企業の副業解禁の流れが加速している。従業員は本業以外の労働を増やすことで、収入増が見込める。従業員が副業で獲得したスキルで、本業への貢献も期待できる。企業側にとっても、副業は採用活動に活用できる。業務発注から関係を深めてからの転職や採用後のミスマッチを防止する効果がある。一方で、副業の一般化に伴い、同業他社での競業や情報漏えい、ブランド毀損、過重労働など、副業リスクは増加している。フクスケ(東京都千代田区)は、企業の副業制度の運用支援に加え、副業コンプライアンス向上に関するデータを分析し、リスク診断サービスも提供している。代表取締役社長の小林大介さんに、企業の副業解禁がもたらす影響について話を聞いた。
2026/06/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方