2019/10/01
ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるために
飼い主へのペットを守るための防災教育普及
ペットを大切な家族とする飼い主は学校や自治体の管理者など避難所運営側の知識や準備を一方的に問題視するべきでは無く、自らが自分のペットとの健康で安全な避難生活環境を具体的に保持する必要がある。
近年、ペットの防災を指導している団体は増加傾向にはあるが、飼い主とペットにおける防災についての教育機会が少ないためか、または、自分が被災者になることなどを意識していない気持ちがどこかにあるのか、広まっていないというのが現状である。
今回、台風15号による被災地のうち、特に千葉県でペットを家族とする多くの被災者から伺った話では、下記の共通事項が挙げられた。
・大停電による空調機が使えなくなったための人間、犬猫の熱中症
・断水による飲み水の枯渇や風呂無し生活
・強風による犬舎や住居の損壊
・避難所での入所受け入れ拒否(一部では可)
・1週間以上の車中避難
・情報通信手段の遮断
・非日常的生活への強いストレス
・ペットの療法薬不足
など
被災された方々は、上記を体験して、初めて、防災への備えを感じたが、事前に発電機や飲み水の備蓄など、準備しておけばよかったという振り返りをされている。
もし、環境省で、下記のような大切な情報資料をパワーポイントと解説付きスライドにしてくださると、さまざまな防災教育ファシリテーターが部分的にでも活用して、さらに役立たせることができると思う。
●災害時におけるペットの救護対策ガイドライン
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506/ippan.pdf
●災害、あなたとペットは大丈夫?
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a/a-1a.pdf
●被災ペット救護施設運営の手引き
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3103/full.pdf
パワーポイントのスライドではないが、下記のリンク先のイラストのようなコンセプトで、上記の環境省の資料がパワーポイントになると普及が広まるのではないかと思う。
●「災害時の避難 ペットはどうする?」(くらし☆解説、NHK)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/302866.html
下記の資料は、ペット同伴避難など避難所運営の防災教育普及にお役立てください。
●ダウンロード「ペット同伴避難拒否とその法的課題」
https://petsaver.jp/PDF/douhanhinan.pdf
(参照文献)
※1 打越綾子 日本の動物政策 71、72ページ
※2 植田勝博 被災時に、ペットを守るために必要なこと 消費者法ニュースNo.109 204、205ページ
※3 原発被災者弁護団ウェブサイト http://ghb-law.net/
※4 原田尚彦 行政法要論 290、291ページ
※5 青木人志 日本の動物法[第2版] 47ページ
※6 浦川道太郎 ドイツにおける動物保護法の生成と展開 早稲田法学 78(4)、 195-236、 2003
※7 青木人志 動物保護法の日英比較 法律時報88巻3号 76、77ページ)
※8 藤井康博 動物保護のドイツ憲法前史(2・完) 早稲田法学会誌 59(2)、 533-594、 2009
※9 渋谷寛・杉村亜紀子 ペットの判例ガイドブック 170ページ
※10 デヴィッド・ドゥグラツィア 動物の権利(ANIMALRIGHITS) 54、55ページ
※11 長谷川貞之 アメリカの裁判例にみるペット動物の法的地位 173ページ
※12 新田一郎 動物、生類、裁判、法 法律時報88巻3号 65ページ
※13 小佐々学 「義犬」の墓と動物愛護史 日本獣医史学雑誌 54(2017)
※14 林太郎 被災動物の保護に憲法上の位置づけを 消費者法ニュースNo.102 217ページ
●執筆内容への法的アドバイス&監修
法律事務所アイディペンデント 弁護士 南部 弘樹
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1丁目8−3−1002
http://idependent.jp/
03-6427-1926
(了)
一般社団法人 日本防災教育訓練センター
ペットセーバープログラム
https://petsaver.jp
info@petsaver.jp
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