消毒用エタノールの危険性(2)

それとは別に、特に考慮せねばならない事項があります。レストラン、食堂、居酒屋など多人数が集まる火器が近くにある屋内のみならず、価値の高い貴重な歴史的遺産や芸術品などの陳列品が集積している美術館、博物館、あるいは図書館などの施設でも引火性のある消毒用エタノールを使用することは避けた方が安全であると筆者は考えています。

さらに、往々にして見逃されがちですが、消毒用エタノールの主成分はエタノール、すなわち飲用可能なアルコールであることを考慮する必要があります。

消毒用エタノールの使用や保管を避けたほうがよい場所も(写真:写真AC)

幼児を含む未成年者が多く集まる空間で消毒用エタノールを使用あるいは保管することは、いうまでもなく望ましくありません。学校など飲酒の禁じられている未成年者を収容する教育機関などでの使用は推奨できません。また各種更生施設での消毒用エタノールの使用も避ける必要があります。

これら諸施設では、アルコール成分を含まない、安全性の高い消毒剤を使用すべきと筆者は考えています。消毒用エタノールを、安全性を担保しつつ使用できる場は、自ずと限定されるはずです。

安全性の高い消毒薬の汎用が望まれる

局方消毒用エタノールは、第3類医薬品に指定されている外用医薬品です。新型コロナ禍が収束する目処がまったく立っていない現在、これからもエタノールの重要度は高く、ひんぱんに消毒のために使用され続けると思われます。

しかし、これまで記述してきたように、消毒効果は一過性で、安全性は必ずしも万全ではなく、人によっては使用できない場合があることも事実です。また供給量にも限界があるようです。

以上を考慮すると、消毒用エタノール以外の、消毒効果が明確で、消毒効果が持続する、揮発性及び引火性がなく、使用する人に副作用を起こしにくい安全性の高い消毒剤に注目することが必要になっています。

消毒剤の特徴を吟味して使用

現在、さまざまな種類の消毒剤が市販されています。これらの消毒剤の特徴を十分に吟味して選択することは大変ですが重要です。例えば、エタノールを含まない、皮膚に炎症を起こしにくい、しかも消毒効果の高い、さらにその効果が持続する消毒薬の存在は注目されてくるものと予測しています。

COVID-19ワクチンや治療薬の開発にはまだ時間がかかります。消毒薬の効果的な使用はCOVID-19の予防に不可欠であることは論を待ちません。